そもそも宇宙創成(creation from nothing)⑦まとめ

①~⑥までのまとめ。

無の状態から宇宙創成

記事:そもそも宇宙創成(creation from nothing)①~④

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インフレーション(加速)

記事:ビッグバン(宇宙論)を少し勉強してみようと思う⑥

        ↓

再加熱(粒子生成・熱化)← ビックバン

記事:そもそも宇宙創成(creation from nothing)⑤~⑥

        ↓

放射支配(通常FRW)ーーー→ 膨張宇宙

記事:ビッグバン(宇宙論)を少し勉強してみようと思う②~⑤

        ↓

物質支配(通常FRW)ーーーー→ (銀河形成)

記事:書いて無いです(元素合成とか場の量子論原子核物理が必要そうなので、、、)

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ダークエネルギー支配(加速膨張・現在)

記事:現時点では書いて無いです→後で書こうと思ってます。

 

概ね理解できたと思いますが「再加熱(粒子生成・熱化)」あたりからは「場の量子論」が相当必要なので式の行間が理解できていません。なので先達者らが算出した結果だけを使って議論を繋いでいるので正当に理解したとは言えないと思いますが、あくまで物理学者ではない一般人が、という意味では概ね理解できたのではないかと思います。

 

この程度でも一般向け書籍(啓蒙書)に書かれている内容がわりと正しく解釈出来た気がします。一般向け書籍はとにかく比喩によって「理解させた、した、気持ち」である意味わかった気になってしまうのでさらに深堀することでより正確な理解になったと思って居ます。

そもそも宇宙創成(creation from nothing)⑥熱化

熱化とは、生成された粒子どうしが十分に頻繁に衝突し、エネルギーと運動量をランダムに交換し、

“温度 T を持つ熱的な分布(ボルツマン/フェルミ/ボース分布)” に達すること。

 

つまり、熱化とは「粒子のエネルギーがランダム化され、統計分布が熱平衡に到達すること」です。

 

粒子は全てインフラトン崩壊で作られます。そして粒子同士が衝突する。

衝突・散乱・再散乱を繰り返すと粒子の運動量分布は次第に広がりランダムになっていく。

これが熱化の始まりになります。

 

熱化とは “温度を持つ状態になること” であり、単に“高いエネルギー”になることではありません。エネルギーは高くても、粒子の運動量が偏っている(非熱的)なら「熱」とは呼べません。

 

粒子どうしの衝突・散乱のレート(1 粒子あたりの衝突頻度)

です。

 

粒子数密度

相対論的(質量 m << T )な粒子が温度 で満たしているとき、

散乱断面積

ゲージ相互作用(QCD や電弱相互作用)に支配される 2→2 散乱の典型的なスケールは

(1)(2)(3)から

ここで

かなり単純に見積もっても

となります。つまり熱化時間は宇宙膨張時間より桁違いに短い ということで、インフレーション後のFRW 膨張の直後に熱転換したことが分かります。たとえば

とすると

熱化はほぼ“瞬時”に起こる と言ってよいレベルです。

 

FRW 背景でのインフラトン場の運動方程式

でインフレーションが終わる直前ではVが支配的なることから上記に結論がでました。逆にインフレーション中ではHが支配的なので熱化はそもそも起きないためインフレーションは「超低温の真空支配状態」ということも言えます。

 

ちなみに推定に使った  (かなり高温)を私たちが使っている「度」という温度単位でいうと、大雑把に換算すると

なので

 

 

注)

典型的な”ゲージ相互作用を使った散乱断面積を用いていますが、実際の初期宇宙では相互作用の種類、相対論性、粒子種の違いなどバリエーションが大きく、単純な 2→2 散乱だけで十分かは慎重に考える必要があります。

単一の散乱モデルだけで「熱化=ほぼ瞬時」は過剰な単純化かもしれません。

そもそも宇宙創成(creation from nothing)⑤インフレーションの後に何故高温になったの?


これまでで宇宙創成→インフレーション→ビックバンという過程をわりと詳細に理解してきました。

※あくまで物理学者ではない一般人が、という意味です。

 

しかし、肝心な点が抜けている事に気が付きました。インフレーション→ビックバンの中間です。

インフレーションの後に何故高温になったのか? という点です。

 

その辺りを深堀してみたいと思います。

 

FRW 背景でのインフラトン場の運動方程式

そしてスロー・ロール近似では

でした。なので

Vは極小値に向かいます。Vについて最小値の定義より

ポテンシャルを最小点のまわりでテイラー展開すると

式 (1) を微分すると

インフレーション終了直後の運動方程式は3H が小さくなってくるので

という調和振動子の方程式そのものです。ここで

インフレーション終了後に出てくるインフラトン調和振動子が得られます。

そして肝心な点にはなりますが「場の量子論」では、「調和振動子量子化すると「粒子」が定義される」ということで、場の量子化では、  を全ての点での調和振動子と考えるので自然に「粒子」が定義されます。量子化すると、

インフラトン場の調和振動は、場の量子論では「大量のインフラトン粒子があることと数学的に完全に同じ。

※場の量子論の一般論は不勉強なためここまでの理解で申し訳ないです。

 

ここまででインフレーション終了付近(ポテンシャルの底)でインフラトン場が大量のインフラトン粒子に転換することがわかりました。ただ、まだ粒子生成が起きただけです。

 

次にインフラトン粒子が他の場と相互作用すると考えられています。これはインフラトン粒子が普通の粒子と同じように崩壊すると考えるからです。

 

インフラトン粒子はなぜ崩壊すると言えるのか?」

インフラトン粒子は、他の場と相互作用を持つ限り、普通の素粒子と同じく時間とともに崩壊する。つまり、相互作用があるから崩壊する。
逆に言えば、

相互作用が完全にゼロなら、インフラトンは崩壊せず、宇宙は再加熱されない。

崩壊というのは「自然に起きるもの」ではなく、相互作用があるから起きる

 

ということで熱に転換(ビックバンへの移行)が起きるにはインフラトン粒子が普通の粒子と同じように崩壊したはずです。

 

インフラトン粒子はまったく崩壊しないということにでもになれば、

→ 子粒子が生成されない
→ 熱も生まれない(熱宇宙にならない)
→ 再加熱が起こらない
→ 宇宙は冷えたまま膨張
→ ビッグバンの熱い初期宇宙が実現しない

これは観測と完全に矛盾します。

現実の宇宙は:

  • CMB が 3000K のプラズマから来ている
  • 原子核合成(T~10^9 K)が起きている
  • 初期宇宙は超高温だった

よって

宇宙はかつて“何らかのプロセスで”非常に高温にならなければならない

これは絶対に避けられない観測事実です。

 

量子場論では相互作用があるなら真空から対生成される。

これについてはかなり昔に勉強した覚えがあります。

https://cat-falcon.hatenablog.com/entry/16783763

真空から電子と光子が勝手に生成される。

※量子場論では、真空には常に「仮想的な粒子対のゆらぎ」が存在している。

外場や励起された場エネルギーからエネルギーを受け取ることで真空ゆらぎが電子や光子などの実粒子として生成されうる。

 

インフレーション後の宇宙は

の状態でしかし相互作用がある限り、Φ → χ + χ などのプロセスは 真空中でも起きる。はずです。こうして大量生成された粒子は散乱などの反応を起こします。これが熱へと転換します。

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注)

現時点で省略している(とりあえず認めてしまう)点があります。どのようにインフラトンが他の場と相互作用するか、具体的なラグランジアン、相互作用の強さ、崩壊チャネル(どの粒子を生成するか)など。

  • どんな相互作用があっても「必ず崩壊」とは限らず

  • 質量や保存則(電荷・対称性など)により 崩壊チャネルが存在するか が重要

モデルによって大きく異なります。記事では「相互作用がある限り崩壊する」と書いていますが、これはあくまで「可能性の一つの仮定」であって、「必ずそうなる」とは限りません。

 

現代の宇宙論/高エネルギー理論では、インフレーション後の再加熱は 必ず必要 であり、「宇宙が現在見られるような高温・高密度の状態から始まった」ことを説明する重要なステップです。一方で、

  • 再加熱の効率、

  • どのような粒子が生成されたか、

  • 温度はどれくらいだったか、

  • その後の宇宙の進化への影響、

などは、モデル依存で研究が続いているようです。つまり、記事のような「インフラトン振動 → 崩壊 → 熱」という路線は有力な仮説のようですが、それが「正解」だ、とは言い切れないのが現状のようです。

 

つづく。。

そもそも宇宙創成(creation from nothing)④

量子化ウィーラー=ドゥウィット方程式(WDW

無の状態の境界の向こう側(虚の宇宙)の運動量”の大きさとなります。

ここで1次元シュレディンガー方程式とドゥウィット方程式(WDW)を並べてみると

1 次元量子力学による解は

としてよく知られています。WKB 近似を適用した場合のWKB 解では、座標 qの禁制領域点q1 からq2 へのトンネル振幅は

したがってトンネル確率(透過確率)は

というのは良く知られています。

 

という結果を流用します。

mini超空間では以下のように対応しているので置き換えられます。

(4)を代入すると

 

これは計算出来てトンネル確率は以下のようになります。(計算過程は最後に載せておきます)

 

この結果は以前記事「ビックバンは1点からの爆発によって始まった」はかなり誤解させている??③」(https://cat-falcon.hatenablog.com/entry/2025/11/10/092043)にした結果です。

 

これは無 ら虚宇宙 に入りこの確率で抜けだして実時間が動きだし膨張可能な実宇宙が創成されることが分かります。

V(Φ)はインフラトン場のポテンシャルエネルギーでした。そしてスロー・ロールではV(Φ) が支配的なためポテンシャルエネルギーは真空エネルギーと同じになります。

 

よって真空エネルギーが高いほど、宇宙が“誕生しやすい”という帰結が読めます。

 

問題はこの「確率」です。宇宙が“何%の確率で”生まれたとか一定時間あたり何回宇宙が生まれるとかいう意味にはなりません。元々可能な全宇宙の量子的な重ね合わせだったことを思い出すと全ての可能な初期状態の中で、どの“宇宙”が重みを持つか」を表す“確率振幅の重み”になります。

つまり、異なる V(真空エネルギー)を持つ“初期宇宙”どうしの相対的な重みを比較するための量になっています。

 

そうするとこんな疑問を持ちます。

この我々の宇宙は確率的に誕生しやすい宇宙だったの?」

これは推測可能な疑問です。我々の宇宙の真空エネルギーは

という、とてつもなく小さい値です。この値で計算してみると

となり、

ゼロでは無いですがほぼゼロというべき値になります。

これは可能な全宇宙の中から我々の宇宙のような宇宙は滅多に生まれないということでしかありません。

 

このあたりはビレンケンは初期は V が極めて大きなインフラトンポテンシャル だった。今日の真空エネルギーは、インフラトンがポテンシャルを“降り切った後”の別の値である。

 

と考えているようです。また、こうも言えます。

 

無からの創成なので時間も関係ない。なので 10^122 個の宇宙が誕生していればどれか1つが我々の宇宙のようになるはずです。逆に言えば殆ど全てに近い宇宙はインフレーションを起こさないで消滅する宇宙なわけでとてもラッキーな宇宙だけがインフレーションを起こしてビックバンを起こすような我々の宇宙になったとも言えます。

 

注)Vilenkin は「宇宙は無の状態からの生成なので、確率一般論をそのまま適用するのは意味が曖昧」と述べ、あくまで“instanton が存在する → トンネル生成は可能”という議論に留めている。

 

結果を「ほぼゼロ」「滅多に起きない宇宙」という表現は、あくまで“仮定モデルの一例”に過ぎません。現時点でも確立・実証されているわけではなく、どのように「無 → 宇宙生成」「時間の起点」「宇宙の波動関数から現実宇宙への遷移」を扱うかは未解決。つまり、記事で使われている古典的–半古典的 WKB トンネルのアプローチは「ひとつの試み」に過ぎず、主流・決定版ではありません。

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以下、トンネル確率の計算過程

 

そもそも宇宙創成(creation from nothing)③虚数時間

虚数時間

この場合、実時間で時間発展できない宇宙になることが分かった。どうもこれがホーキングらが考えた虚時間というものらしい。

これは時間変数 t を虚数に回転すると実数になるということを意味します。

政策担当した経済学者は島流しの刑?・因果関係(因果探索)

池戸万作氏:政治経済評論家

日本だけが経済成長していない。

「はっきりいって、末代までの恥だなと思う」

「この25年間(1997~2021)の政策担当した経済学者は島流しの刑にでもしたほうがいいんじゃないかというぐらいの大変大失態をしたというふうに思う」

「なぜ日本が経済成長しなかった唯一の理由」

日本だけが年1%しか政府資支出を増やしてこなかった」

引用)https://www.youtube.com/watch?v=UPEmh45AUFs&list=WL&index=2

 

よくある間違いだ。

https://www.shiga-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/1.Ds_shimizu_seeds2025.pdf

ノーベル賞の数を増やすためにはどうすれば良い?

「国ごとのノーベル賞の受賞者数とチョコレートの消費量には正の相関がある事が分かっている」

 

冒頭の経済学者の言葉を信じれば「チョコレートの消費量を増やせば、ノーベル受賞者数が増加する」はずだ、我が国のノーベル受賞者数が他国より少ないのはチョコレートの消費量が他国より少ないからだ

「はっきりいって、末代までの恥だなと思う」

「この25年間(1997~2021)の政策担当した経済学者は島流しの刑にでもしたほうがいいんじゃないかというぐらいの大変大失態をしたというふうに思う」

という話になる。

 

そんな事はない。相関と因果の方向はイコールではない。

 

統計的因果探索・推論の技術を使って正しい因果関係を推論する。

経済学者ではなく統計学者(データサイエンティスト)を活用すべきだ。

 




そもそも宇宙創成(creation from nothing)②

以下でそれぞれの解について考えたいと思います。

 

スケール因子 は宇宙の「大きさ」を表す変数なのでa<0はそもそも非物理的なので無視できます。

 

宇宙が存在していない。なので時間も空間もない。つまり「無の状態」となります。

もう少し正確に言えば無と有との境界で

  • “無”はミニ超空間の外側(モデルの外概念)

  • 無には a の値という概念が存在しない

という点に注意が必要です。“無(nothing)”はスケール因子 a を持つ FRW 幾何が存在しない状態のことであり、a の値として表現することはできないです。

FRW計量ds2=dt2+a2(t)dΩ32ds^2 = -dt^2 + a^2(t)\, d\Omega_3^2a=0 を代入すると形式的には

ds2=dt2+0dΩ32.ds^2 = -dt^2 + 0\cdot d\Omega_3^2.となって時間がだけは存在するように見えます。

しかし この t は “宇宙が存在する世界線に付随する固有時間” です。ところが a=0 では

空間がない、観測者もいない、空間座標も存在しない、つまり FRW 計量の前提が破綻しているため、t の物理的意味が消滅しています。

従って、時間も空間も存在していません。

 

数学的に定義されてaがゼロではない。宇宙が“量子的にしか存在できない。ということですが簡単には理解できません。少し計算してみる必要があります。

真空の場合、真空のエネルギーρとΛは同じと考えられているためそのままでは真空エネルギーを 2 回足してしまう事になりVilenkinは次式を使っているようです。

※私は理解できていませんが、Λは真空エネルギーと完全に等価であるとしています。

※一般相対論では、宇宙定数 Λ と真空エネルギー密度 ρvac
ρvac=Λ/(8πG)\rho_{\rm vac} = \Lambda / (8\pi G) のように比例関係にあるとみなされる。
したがって、同じ物理的起源を別々に数えて二重計上しないように、どちら側にまとめるかを慎重に扱う必要がある。

インフラトンのポテンシャルが宇宙のエネルギー密度の ほぼ全てを支配しているはず。

つまり、宇宙の大きさの時間発展が「虚数」となります。したがって 実時間 を使ってスケール因子 が変化する解が存在しません。この領域では宇宙は(古典的に)存在できない(実時間で運動できない)。しいて言えば虚の宇宙。

※この領域では、実時間 t に対するスケール因子 a(t) の古典解は存在せず、対応する「運動量」が虚数になる。
したがって、WKB では指数的に減衰する「トンネル的な波動関数」だけが許される領域であり、古典的な FRW 宇宙としては存在できない

 

つまり、宇宙が普通の意味で(実時間で)時間発展(膨張)が始まるということが分かります。

 

 

論文「CREATION OF UNIVERSES FROM NOTHING」図(b)

電場中の電子–陽電子対生成のアナロジーで解説

次回へと続く。