インフレーションによる膨張の非常識度合い


インフレーションによる指数関数的膨張のスケール因子

でした。なので、インフレーション期間の e-fold 数

宇宙論では「倍々ゲーム」なので   e^N が自然に登場します。膨張率 から、所要時間 は

「観測宇宙をカバーできるだけの膨張」に必要な e-fold 数はだいたいN=60 くらいらしいです。インフレーションのエネルギースケールは概ね

V はエネルギー密度 [GeV^4] なので、それを 1/4 乗したのがエネルギーの次元 [GeV] を持つ。

くらいで、

なので、概ね

くらいになります(モデルによって多少前後)。

H がもう少し小さければ

くらいまで幅がありますが、

 

 

というのが、インフレーション理論の標準的な描像になります。





 

揺らぎの大きさ

今までさらっとこんな式を書いてましたがちゃんと導出してませんでした。

 

下記は導出メモ。※意外と長い計算になって疲れました。

最低限の場の量子論を使わないといけないです。これについては10年ほど前に一度勉強しているので必要なら下記を参照して下さい。

Memo10 生成・消滅演算子・沢山の素粒子を扱うための方法

Memo27 場の量子化(2) 場の演算子(3)


宇宙は一様・等方的と仮定して、時空の計量を

インフレーションがものすごく強く空間を平坦化するため、

インフレーション後は事実上 k = 0 になるから

デカルト座標 (x,y,z) を使うとどうなるか?

平坦な空間では座標変換を行えば

なので計量成分は

スカラー場の運動方程式はKlein–Gordon式

FLRW(共形時間)の計量を代入する。



 

スカラー場 φ(τ, x) を k 空間の表示に変換

 

 

これを計算するために各項を計算しておきます。

 

 

 

これが de Sitter 中の軽いスカラー場のモード方程式

これはBessel 方程式の一種で、解は良く知られていて

階数 の Bessel/Hankel 関数で書けます。

一般解は

真空条件(Bunch–Davies)の選択

物理的には τ → −∞(= x → ∞)で Minkowski の平面波に一致してほしいという要請

という 正の周波数の平面波になってほしい、というのがBunch–Davies 真空の条件です。

したがって物理的に採用する解は(記号も変更しときます q->k)

ここで パワースペクトル (つまり モード の揺らぎの大きさ(分散)=振幅の二乗)を

と定義して比較すると

ゆらぎの典型的な振幅は

パワースペクトルは振幅の二乗→ 振幅はパワースペクトル平方根

以上。











 







 

親宇宙・子宇宙というという入れ子の構造?

私の理解がダメなのか?これまでの理解からして親宇宙・子宇宙→孫宇宙というという入れ子の構造にはならない気がしています。色んな情報を見ると間違いなく「親宇宙・子宇宙→孫宇宙というという入れ子の構造」と書かれていますがそうはならないんじゃないか?ということで下記です。

永久インフレーションでは、インフレーションが続いている広大な領域の中に、インフレーションが終了した多数の「泡宇宙」が生成されます。このプロセスは継続的に起こるため、より大きなスケールで見ると、別の場所のインフレーション領域自体がさらに小さな泡宇宙を生み出し続ける、という自己複製的な構造となるのは理解できます。

永久インフレーションにおける「入れ子構造」というよりは、より正確には「空間的フラクタル」に近い描像なので入れ子構造になることは無いです。

別の場所のインフレーションは完全に独立した出来事 であり、互いの領域は 因果的に別宇宙 になる。それぞれの場所で独立に起きているだけで、“親が子を作る” という入れ子の構造にはならないかと。

 

よく見るこういう図ですね。

入れ子構造ではない理由

  • 泡宇宙はインフレーションが終了した領域です。インフレーションが終わった宇宙の内部で、再びインフレーションが起こり、さらに小さな泡を生み出すというようなメカニズムは、このモデルでは自然には発生しません。

  • 泡宇宙(子宇宙)が生まれるのは、親となるインフレーションを続ける背景空間(母体)からであり、泡宇宙の中からではありません。


注)

  • 永久インフレーションでは、場の量子的揺らぎによって「インフレーションの終了時期」が領域ごとにばらつくため、結果として無数の泡宇宙が生成される。

  • 各泡宇宙は因果接続範囲を越えて分離して進化するため、
    互いに干渉せず、厳密な「親→子→孫」の繋がりで因果的に結びついているわけではありません。

  • このため、泡宇宙の集合体として見ると “確率的・フラクタル的分布” が宇宙全体像になります。教科書や研究論文でもそうした記述が多いようです。

(この点は専門的な「確率的インフレーション」「永続インフレーションの確率分布アプローチ」と呼ばれる理論で扱われる考え方のようです。)

泡宇宙


インフレーションは永遠に終わる事が無いが(前回までの結果を再掲すると)

量子的揺らぎは不可避なため永遠にインフレーションが継続しているが部分的にインフレーションが終わってビックバン→膨張宇宙となる。つまりインフレーションが終わる場所は「局所的な泡のように」点々と生まれるだけで、全体としては外側のインフレーション領域が永遠に残り続ける事になる。

 

理論的には、これら泡宇宙は互いに「因果的に完全に分離」している。
インフレーション領域は指数的に膨張していてその内部のバブル(FRW宇宙)の膨張では追いつけないため泡宇宙同士は因果的に一生出会わない


→ 各泡は 互いに完全に独立した宇宙 として進化する。
→「マルチバース」。

 

 

\phi(x,t)がそれぞれ異なり泡宇宙同士の物理パラメータが異なるし、再加熱温度が違えば、ビッグバン宇宙の歴史が根本的に変わる。基本的には泡宇宙同士の物理パラメータが異なってしまいます。

私が詳細を理解できませんが超弦理論からhttps://en.wikipedia.org/wiki/String_theory_landscape?utm_source=chatgpt.com
宇宙の種類は有限で10^500 よりはるかに大きい 10^272000 くらいらしい。
しかし、永久インフレーションによって無限に泡宇宙ができるのであれば同一のパラメータを持つ場合もありえて宇宙の種類が有限であれば同一のパラメータを持つ泡宇宙ができる確率は100%になる。
なので「少しだけ違う私」=あなたと“ほぼ同じだが少し違う”存在は、
永遠インフレーション(マルチバース)を仮定すると “ほぼ確実に存在する”

 

私たちの宇宙も「泡宇宙(ポケットユニバース)」の一つです。
 しかし “親宇宙 → 子宇宙 → 孫宇宙 …” のような“入れ子構造”にはなりません。永遠インフレーションの枠組みでは外側ではインフラトンが高い値を保ち 永遠に膨張その中の局所領域でインフレーションが終わり、再加熱がおこり、ビッグバン宇宙が始まる”ので。

バブルができた直後、バブル内部の時空の計量は


ds^2=-dt^2+a^2(t)[d\chi^2+{\sinh}^2\chi\mathrm d\Omega^2]

とされています。※Coleman–De Luccia

このときの計量は負の曲率 K = -1 の空間を表します。

初期時刻 t=0 においても “空間体積が無限”です。泡内部の空間は、生成の瞬間から無限大の体積をもつことになります。

バブル内部の (t, χ) ペンローズ図(双曲線の時間軸)

時間軸が双曲線になっている。なので泡の内部では宇宙は最初から無限に広い。

一方、泡の外部の観測者が見る泡宇宙は時間とともに膨張する。

 

無からマルチバース

 

OpenAI Codex-GPT5.2 とのうまい付き合い方

OpenAI Codex-GPT5.2 さんは取り扱い注意の部下である。

  • 我が強い+上から目線
    ミスを指示してそこを修正させようとすると別の所を修正してくる。
    ※そこは間違っていないと言いたいのか?
  • すぐに忘れる
    複数の間違いを指定すると一つだけ直して後は何もしない。
  • 仕様変更
    間違いを指摘すると仕様書を書き換えてでも間違いを直さない。
    ※仕様書を勝手に書き換える暴挙
  • 仕様通りになっていると嘘をつく
    まったく修正する気がない。問い詰めていくとな問題が解決しないのは仕様通り実装していないと言い出す。
    さらに、深堀すると仕様通り実装してるが「ご指摘の部分は未実装です」と行ってくる。

質の悪いSE/PGでしかないことが分かってきた。
指摘されることがとっても嫌みたいだ。
まぁあらゆる分野で博士号レベルなので私の指摘は気に入らないんだろう。

思い返すとこういうSE/PGは確かに実在はしてたな。

続きを読む

永久インフレーション


インフレーションの加速度方程式は下記でした。

この式から

 したがって、  インフレーションは   \epsilon_H<1 のときに成立し、  \epsilon_H\rightarrow1 で終わる。

 

 \epsilon_H=\frac{M_{Pl}^2}{16\pi}\frac{V^{\prime2}}{{V(\phi)}^2}

\phiインフラトン場なので時空の場所の関数になっています。つまり

\phi が量子的ゆらぎを持つことによってインフレーション中は


\phi(x,t)=\phi_0(t)+\delta\phi(x,t),\delta\phi\simeq\frac{H}{2\pi}

場所ごとに \phi が違う → 場所ごとに ε が違う。

※さりげなく「\delta\phi\simeq\frac{H}{2\pi}]」と書いたがこれは後で確認するよていです。

 ある領域は \phi が少し大きい → まだ \epsilon_H<1 → インフレーション継続
 ある領域は \phi が少し小さい → \epsilon_H=1 に達する → 終了→ビックバン→膨張宇宙


\epsilon_H(\phi)={\epsilon_H}_0(t\phi_0(t)+\delta\phi(x,t))

小さなゆらぎとして一次まで展開すると
\epsilon_H(\mathbf{x},t)\simeq\epsilon_H(\phi_0(t))+\frac{d\epsilon_H}{d\phi}\mid_{\phi_0}\mathrm\delta\phi(\mathbf{x},t)
なので

\delta\epsilon_H(\mathbf{x},t)\simeq\frac{d\epsilon_H}{d\phi}\mid_{\phi_0}\mathrm\delta\phi(\mathbf{x},t)

\epsilon_Hも量子的に揺らぐことになります。

場の量子化によって交換関係


[\hat{\phi}(\mathbf{x}),\hat{\pi}(\mathbf{y})=iℏ δ(3)(x-y) \neq 0

を満たします。従って量子化されていると必ず揺らぎが生じます。
場の量子化における正準量子化
https://cat-falcon.hatenablog.com/entry/14561694
揺らぎの大きさは概ね \delta\phi\simeq\frac{H}{2\pi} と計算されているようです。

という、とてつもない値になる。なので普通の場ではほとんど無視できる量子ゆらぎが、インフレーション中だけは 宇宙スケールの構造を作るほど巨大に拡大される。
しかも量子揺らぎによってインフレーションは永遠に終わる事が無いということが分かる。

 

注)

記事中の \delta\phi\simeq\frac{H}{2\pi}は、ゆらぎの 標準的な大きさの見積もり ですが、これは半古典的な近似値です。正確には場の量子効果を統計的に扱うため、スロー・ロール方程式や確率的補正などを導入した「確率的インフレーション」という形式で扱われます。

 

「永久インフレーション」と言っても、宇宙全体のどこかに常にインフレーションが残るという意味で合って、
単一の局所で無限に続くという意味ではありません。局所的には終了があり得ます。

 

加速膨張(120桁問題)

奇妙な話だが1998年の超新星観測が「宇宙は加速している=Λ>0 必須」と示し、大発見になった。

宇宙の加速膨張の発見は、2011年のノーベル物理学賞として正式に表彰されました。
これは宇宙論の歴史でもトップクラスに重要な発見で、しばしば「宇宙論の革命」と呼ばれます。

しかし、これまでの勉強で既に宇宙の加速膨張は既知だったはずです。

 

どういうことなの?

実際は「物理学者は「Λ= 0」だと思っていた」という事らしいです。

 

まず、アインシュタインは「宇宙は静的」と信じていたため Λ を導入した。だが

(1)1929 年にハッブルの膨張発見により静的宇宙モデルは不要になった。

(2)そしてΛ には物理的根拠がなかった。

(3)ただの定数項を入れるだけで自由度を増やしてしまうため気持ち悪い。

(4)物質宇宙モデル(Λ=0)が観測とよく一致していた。

 

ということで物理学者は「Λ= 0」だろうと思って居たようです。逆に70 年間、宇宙はむしろ重力によって減速しているはずだと信じられていた。

ところが1998年にどのくらい減速しているのかの精密な観測結果、負の減速(つまり加速)を観測してしまい、初めて Λ>0 が観測的に必須になった←「加速膨張の大発見」。

 

数学的に Λ を入れられることは昔から分かっていたが、“実際の宇宙に Λ が本当に存在する”

ということを観測が初めて示したわけです。

 

インフレーションではインフラトン場によって加速膨張したので同じものでは?

と思ってしまうがインフレーションの終わりに熱に転換されてしまっているのでインフラトンの真空エネルギーは消えてしまっているはずです。

なのでΛ>0にしているものは謎です。これを引き起こすものをダークエネルギーと呼んでいます。

 

一方で、理論からΛを計算できるらしいです。その理論値は

  \rho_{vac}^{theory}\sim{10}^{120}M_{Pl}^4

現在のダークエネルギー密度の観測値は

 \rho_\Lambda^{obs}\sim{10}^{-120}M_{Pl}^4

ほぼ0に近い値です。つまり

「観測値がほぼ 0 なのに、理論は 10^120 を予測した → 120 桁大きい」

 

現代物理学最大の謎であり、宇宙論・量子場理論・重力理論のすべてが絡む最深部の問題らしい。

 

注)

古典的な再加熱・熱化理論 (たとえば Dissipative Effects on Reheating after Inflation) によると、熱化にはインフラトン decay → 放出粒子 + 散乱 + 相互作用など複合的な過程が絡むため、単純な「インフラトン真空エネルギー → すぐ熱化 → 普通物質」という流れが必ずしも保証されるわけではないようです。