Memo63 電子電子散乱(3)

電子電子散乱・項は
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で、前回これから読み取れるFeynman図は、
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だけに見えます。と書きました。

そしてFeynman図を一旦忘れてコンプトン散乱項を計算した要領で電子電子散乱・項を計算してみると、電子電子散乱のS行列は次のようになっていました。

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こうして正しい電子電子散乱では二つのFeynman図が対応している事が分かります。Feynman図でスピノル粒子(電子)の外線が4本と頂点が2個、光子(電磁場)の内線が1本なので描くと一つの図になって(一つのFeynman図しか描けないですが)式は2通りの状態が出てきました。これは電子同士が自己と他者を根源的に区別できない点と関係がありそうです。以前、フェルミオン(電子もフェルミオン)では2電子状態の波動関数
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と書けることを示しました。この時も入れ替わった状態を暗に考慮しておかなければならない事を示唆していました。不思議な事ですが概観は全く区別付かない状態が存在している事に起因しています。スピノルが1回転で符号が変わり2回転で元に戻ると言う性質とも深い関係があるようです。

電子電子散乱はイメージとしては電子同士がぶつかって散乱しているので
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という感じですが、量子電磁気力学によれば仮想光子を交換している事になります。これがFeynman図となって次のようになっているという事だと思います。つまり、入れ替わりを考慮するという点を誇張すれば次のようにfeyman図を描くことができます。(あえて描くとすればという言い方が正しいかも知れませんが)
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このことは最初の図でいえば、
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こんな感じで入れ替わってしまう場合が在るということです。電子同士は根源的に区別できないので両者の反応の違いを観測する事は出来ません。しかし考慮しておかなければならないと言う事ですね。

また、仮想光子は観測されないので(S行列というブラックボックスの中の事なので)例えば、次のように描いてみると
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これらの事から
ピノル場がクロスする図はマイナス因子を掛ける
という規則を付け加えておけばいい事になります。実はこれが[状態符号因子になります。