Feynman図形処理で遊ぶ

Memo94 発散の困難ともう一人の偉人

Memo1~Memo4でQEDのサクセスストーリについて書きました。そして結果的に1965年、Schwinger、Feynman、朝永の3名はこの成果でノーベル賞を受賞しましたが、実はこのストーリーに埋もれた先駆的な事を成し遂げたある物理学者が居ました。 エルンスト・カー…

Memo93 発散の困難と朝永の逆転

前回は朝永のグループで木庭がDankoffの計算を使った計算でミスをした。しかし慎重に調べてみるとDankoffにも計算ミスが見つかった、、、という所まで書きました。 ここで話を再び戦後の日本に戻します。第3話で書いたようにHans Betheが近似的ではあったも…

Memo92 発散の困難と繰り込み

Feynman図を目標にQEDを摘み食いするつもりがシロートにしては結構マジに独学してしまった(笑)。 でもって勢いあまって繰り込み理論まで首を突っ込んでしまった。 まあ、探究心というか好奇心なんですが一応納得するとこまで来たという感じです。ただ場の…

Memo91 紫外発散の繰り込みの可能性(3)

前回の続きです。最後の残り、光子の自己エネルギーによる紫外発散の繰り込み(有限化)を見てみたいと思います。 eの係数因子を明示的に と書いておく。それで、 繰り込み常数の掛かる数の関係 を使うと、 なので電荷と質量を全て繰り込まれた電荷と質量で…

Memo90 紫外発散の繰り込みの可能性(2)

先日は頂点補正の無限大を繰り込んで発散が除去される事を見ました。今日は、電子の自己エネルギーによる紫外発散の繰り込み(有限化)について見て見たい思います。フェルミ粒子のプロパゲータの補正(重複発散に対しても補正した)と繰り込みの定義から、 …

Memo89 紫外発散の繰り込みの可能性(1)

これまでの準備で紫外発散の原因が繰り込みで無害化される可能性は本当にあるのでしょうか?今日からはその点を実際に繰り込みを実施して紫外発散が除去されるか?の可能性を見てみたいと思います。方針は数学的帰納法を使います。まず、最低次数では繰り込…

Memo88 繰り込み(Renormalization)

さて、いよいよ核心に迫りたい。「繰り込み」だ。まず、先日までの結果をまとめておこう。 重複発散を考慮したプロパゲータと頂点の補正は となる。そして繰り込みは ren付きのプロパゲータは元のプロパゲータの中に含まれる全ての電荷を以下のren付きの電荷…

Memo87 重複発散(Overlapping Divergence)

前回までで一応、紫外発散の除去の方法を見たのだが、そう簡単に問題が解決した訳ではない。二つの発散する自己エネルギーが内線を共有するため個々の発散と見なせない場合だ。 補正伝播関数のΣが(重複して)内線を共有している。「場の量子論 中西襄p261」…

Memo86 紫外発散の除去の方針(後編)

「場の量子論 中西襄p260」によれば前回の類推通り、紫外発散の除去の方針は外線の運動量を変数とした関数と思ってべき級数展開して最初の数項を捨て去る事で行われる。 そして最初の数項というのが発散次数Dになる。つまり 次数0から次数D-1の項が発散…

Memo85 紫外発散の除去の方針(前編)

紫外発散(ultraviolet divergence) 発散の次数と発散の相殺の手がかり で、 べき級数展開が発散相殺(除去?)の手がかりになりそうだという事について見てみました。実際、 は無限大に発散します。 以前書いたように積分は対数的に発散する。グラフはカット…

今日は、

今日は、体調不良で会社を休んだ。 悲しいけどこんな時にしか休めない。 午後からなんとなく体調も回復してきた。TVもつまらないがNHK国会中継を淡々と見る。 普段見ないので聞き入ってしまう場面もあったが、だらだらと喋る議員はどうにもならない。 やはり…

Memo84 補正次数とプロパゲータ因子の個数

後で、補正次数とプロパゲータ因子の個数の関係は使うので今日はこの関係について少し見ておきたいと思います。単に因子の数を数え上げるだけです。 また別の個数も数えて置きます。 実際には因子A,Bに定数Z1,Z2を掛けた時にZ1A*Z2Bになって定数Z1とZ2は各一…

Memo83 高次補正項

最低次数でもある2次の補正なら結果も分かっているのでDysonの積分方程式を少し見てみましょう。補正無しでは素のプロパゲータと頂点因子だから、 をDysonの積分方程式に代入すると、 これは1-loopの電子の自己エネルギーと(質量補正が付随していますが)…

Memo82 逐次高次補正・Dysonの積分方程式

基準となる既約な自己エネルギーと頂点を対象にしてこれまでの事をまとめると以下のような式を逐次計算する事で任意の次数の補正が計算できる事が分かります。そういう意味でも既約な図形は「種」のようなものです。 Dysonの積分方程式 この式によって低い次…

Memo81 既約(irreducible)図形

プロパーな自己エネルギーとプロパーな頂点補正をfeynman図の「部分」として含まない場合を既約(irreducible)と言います。ただし、補正されていない頂点 は除外して考えます。 properなFeynman図というのは、どの内線を切断しても分離したFeynman図になら…

Memo80 自己エネルギー補正と頂点補正の関係

今日は、自己エネルギー補正と頂点補正の関係について(意外な?)関係を見て行きたいと思います。まずは内線のプロパゲータを微分するだけで頂点を挟んだFeynman図に相当する因子が出てきます。 これは、頂点補正 でk=0とした式を見てみると、 光子の外…

Memo79 頂点の補正

頂点についても同様な補正を行います。最低次の補正は と書くことが出来ます。 高次の補正は自己エネルギーの補正と同様にプロパーなFeynman図の頂点総和を考えて プロパーなFeynman図の頂点をプロパーな頂点と呼びます。

Memo78 自己エネルギー補正(4)

先日までの自己エネルギー補正をまとめると、 このように考えると一見単純な内線も補正されて補正伝播関数(modified propagator)が次のように定義できます。 正確な補正を考える場合はこれまでの計算で現れた最低次の自己エネルギーの部分を次のように置き換…

Memo77 自己エネルギー補正(3)・光子の自己エネルギー

先日の続きです。光子の自己エネルギーも同様な補正を行います。ただし質量補正項は付加しません。 また、ゲージ不変の要請から次のような形式に書くことが出来ます。書ける事が知られています。 この関係はローレンツ変換とゲージ変換の不変性の要請による…

Memo76 自己エネルギー補正(2)・電子の自己エネルギー

両端の頂点を無くした内線を考えて見ます。最低次の補正を例にとって見ます。 一目瞭然ですね。Feynman規則通りに計算しただけです。さて、この結果を補正に使いますが、さらに一工夫しておきます。 質量補正 δmを自己質量(self-mass)という補正項をフェルミ…

Memo75 自己エネルギー補正(1)

電子の自己エネルギー、光子の自己エネルギーの総和(プロパーな自己エネルギーの総和)をそれぞれ、 と書きます。例えば電子の自己エネルギーは(例えば) 今は適当にプロパーな自己エネルギーの総和を書いていますが後で規則的に、というか逐次高次の総和…

Memo74 properなFeynman図と自己エネルギー

さて、先日の続きです。すっきりしない点はあるが先に進んでみる事にします。 プロパゲータにiを掛けた関数を とします。さらに単純なケースを以下では考えてみます。そこで以下では次のように略記を使います。 properなFeynman図というのはどの内線を切断し…

Memo73 発散の次数と発散の相殺の手がかり

正しくは「見かけ上の発散次数」とよばれる。発散の次数をDとするとき内線の積分は と同程度の発散が起きる。と見積もる事が出来る。D=0の場合 は先日で書いたように対数発散を起こす。D<0なら発散は起きない。さて、この発散次数とよばれる見積もり量…

Memo72 紫外発散(ultraviolet divergence)

今日は自己エネルギー(発散積分)と紫外線(ultraviolet)についてです。 これを扱うのは大変です。ここで適当かつ大胆に運動量Z成分以外はゼロにして1次元にしてみます。 としてみますと、 被積分関数は例えば、 となっています。グラフに描いて見ると、 …

Memo71 繰り込み準備(Π、Σ、Γな面々)(3)

先日からの続きです。今日で発散三兄弟の面々が揃います。頂点補正は でした。それで無限大に発散するのはこれもまた内線の積分部分でした。そこでFeynman図を次のように分解してみます。 で、これらの因子を全て掛けると 主要な部分で元の形を思い出すと な…

Memo70 繰り込み準備(Π、Σ、Γな面々)(2)

前回の続きです。といって今日のも以前計算しておいたFeynman図から後で重要な意味を持つ部分の抽出です。電子の自己エネルギーは でした。それで無限大に発散するのはやはり内線の積分部分でした。先日と同様にFeynman規則を少し追加して で、これらの因子…

Memo69 繰り込み準備(Π、Σ、Γな面々)(1)

ようやく「繰り込み」の仕組みとかが分かってきたので少しずつですがメモ程度に残しておこうと思います。ただ、まだ疑問が無いわけでも無いので誤りもあるだろうけどその点はこの先で変だな?って事になったら修正、追記しようと思っています。 さて、繰り込…

繰り込みってなんだⅡ

午後からじっくりと「場の量子論 中西襄著」を読んでみるが今ひとつ。 結局、本を放り投げて昼寝ねをしてしまった。こういう本は眠くなるんですよね。 気持ちよく目が覚めたが車検のセールのTELで気分が沈む。またお金がーーー。 TVもつまらないし仕事の事は…

Memo68 頂点(3次のオーダー)

S行列の2次のオーダーの寄与については全部計算したが繰り込みでは頂点補正という事が必要になる。 ということで頂点における3次のオーダーを計算してみる。もうFeynman規則は大分なれたのでやって見よう。 内線に関する積分を行うと、 これも内線の積分が…

やってしまったのだ

シロートの暴走である。(ハハハ、、、)それがこれだ。 有名な知る人ぞ知るワインバーグである。 私もこんな事(シロートの独学)をやっているので噂には知っていたが、私のようなチンピラが所持するような本では無い。 ジュンク堂に全6巻がひっそりと置い…