Note35 曲率テンソル

今日は、ベクトルを閉曲線にそって平行移動してやると曲率テンソルと呼ばれる量が出て来るのを実際にやってみます。(結構面倒だけど)
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x(t)からx(t+δ1t)まで平行移動するとベクトル成分は次のようになりました。
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さらに、x(t+δ1t)からx(t+δ1t+δ2t)まで平行移動すると
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クリストッフェル記号も場の量だからテーラー展開して
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また、
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であるからこれと、クリストッフェル記号テーラー展開した式を代入して、
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これを展開すると、
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のような高次の無限少は不要なので、
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ここまでの平行移動で
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となります。各増減部分は既に計算した量です。従ってこの平行移動でベクトルは
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次に、ベクトルを元の位置から初めて先程のコースと別のコースを平行移動させます。
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こうすると一周させたの同じ様にベクトルが比較できます。しかも計算は容易になる。なぜなら先程の計算で1->2としたものが2->1となるのだから計算結果も1と2を入れ替えたものになる。従って結果はここまでの平行移動で
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となっています。
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となっている。これで先程求めた平行移動ベクトルとこの平行移動ベクトルとの差を求めればよい事になる。この引き算で相殺されて無くなる部分以外を残すと、
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これを整理すると、
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総和のインデックスは付け替えても結果は変わらないのでそうやって整理すると
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微小な閉曲線に沿って平行移動したベクトルの差分が計算できました。
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Riemann‐Christoffelの曲率テンソルといいます。大抵の教科書では定義される様ですがイメージに従っても導出する事が出来たわけです。

今日は「現代微分幾何入門 野水克己 著」p79。
ただ、p79では曲率テンソルを共変微分で定義して局所座標で書き出すという方法なのでここまで面倒では無いです。イメージを大事にやるとこうなるというある意味悪い見本かもしれません。
さて、「現代微分幾何入門 野水克己 著」p79の結果と一見すると異なります。しかしこれも総和のインデックスを適当に付け替えると、
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となって
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ちゃんと一致します。