Note101 ディラック方程式のローレンツ共変性

ディラック方程式が表す波動関数は4成分あってこれらはベクトルではなくスピノルでなければならない。それがスピノル(スピノール)場の方程式たる由縁でもあるのだろうか。

歴史的な背景は知らないがディラック方程式の4成分のセットがスピノル(スピノール)であればローレンツ共変を満たすというのは単なる4成分のセットではないという一つの裏づけにもなるんだろうと思います。
さてディラック方程式
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これは4成分の連立方程式になっています。
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それで、波動関数
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これをベクトルだと思ってローレンツ座標変換を行ってもを共変的にはなっていない。この波動関数がスピノルならローレンツ座標変換の元でディラック方程式はどう変換されるのか?座標変換
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を考えるとこの変換の元では次のように置換してやれば良い。
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ローレンツ座標変換されたディラック方程式ローレンツ共変なら
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となっている。先程の変換則の式を使って変換してみると
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となってΨがスピノル(スピノール)と解釈するとディラック方程式は見事にローレンツ共変性を持っている事が言える。だからディラック方程式の解である波動関数
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はスピノル(スピノール)でなければならない。(ローレンツ共変性の要請

これで少しすっきりした。なんでスピノルなのかが。
ただ、ちょっと疑問なのはWikipediaによれば歴史的には、一般的なスピノールは、1913年にエリ・カルタンによって発見されている。一方、ポール・ディラックは1928年にディラック方程式を見出したという。

つまりディラック方程式を見つける15年も前にスピノル(スピノール)という概念は存在している

私は今までディラック方程式の共変性のためにスピノル(スピノール)という概念が必要になったのだと思っていた。
つまり、それを数学的な整備を行って今日のスピノル(スピノール)という数学的量が形成されてきたのだと思っていた。ところが歴史的には逆で数学的な概念としてスピノル(スピノール)は既に登場していた。
だからそれをディラックが知らなかったというような事は無いのでは?と。そう考えるとディラックは初めからスピノル(スピノール)を意識してディラック方程式を導く事も出来たんじゃないだろうか?