Note134 摂動(perturbation)計算

摂動計算は解くべき系が複雑で厳密に解く事が出来ないような場合を近似的に解く方法だがその近似が収束するなら幾らでも厳密解に接近できる。元々は複数の天体が互いに影響を与えながら運動しているような場合に開発された方法のようだ。イメージ的には殆どの影響は正確にわかるが僅かな影響(摂動)で解が分からなくなるよう場合に逐次補正を加えながら元の正確にわかっている解を修正していく。

量子力学では例えばQEDがこの方法で計算される。というのは今までの勉強で分かっている。

さて、系のハミルトニアン
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で正確には解けないが解が良く分かっているハミルトニアンを使って近似的に
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と書けるとする。つまりH0についての解は厳密に分かっている。H'が系の摂動項ともいうべき摂動のハミルトニアン
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このとき元の系の解λが十分小さければH0の解に補正を加えたものになるだろうと考える。そしてその補正はH0の解のλの冪級数として展開できると考える。
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と考える。とするならこれを代入すると
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λの次数で比較すると
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となる。そこで1次の摂動が次のように計算できます。
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なのでH0の固有関数uが完全系をつくっているなら
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という関係が得られます。そして以下のようにして1次の摂動が計算できます。
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従って
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が一次の摂動を考慮した解になります。

一次の摂動が決まったので二次の摂動が同様に計算出来ます。
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従って
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として計算出来ます。この摂動がこの先収束するかは全く別の問題だけどラムダが十分小さければこの級数は収束するだろうと考える。

QEDではそう思ってαの冪で摂動展開しているわけでそれぞの次数に対応する項がFeynman図が対応している。

それで、精度の高い近似を求めるために高次(2>)の項を求めてみたらなんと無限大になってしまったというのが「発散の困難」と呼ばれていたわけでこれが繰り込みという巧妙な引き算を導入して無限大―無限大=有限というトリックを使ってみたら驚異的な精度実験結果が説明できたいう話に繋がるわけですね。