第2話 光は波なのかそれとも粒なのか?

これまでの話
第1話 量子の夜明け

マックス・プランクが「量子」という考えを発表してまもなくアインシュタイン光電効果を説明するためにこの「量子」というアイデアを元に「光量子仮説」を論文にまとめて発表した。

光電効果を説明するためには何らかの単位、つまり一つ二つと勘定できる何かが必要だった。
そしてそれは非常にうまく光電効果を説明できたのである。つまり、光は一つ二つと勘定できるようなもの、「粒」でなければならなかったのである。

問題はうまく解決できたのだが大きな問題があった。
それはこれまで光は「粒」ではなく「波」であるという証拠があったからである。

光は「波」(波動)であって決して粒では無い根拠がある。それはヤングが示したスリット実験が確かな証拠となる。
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光は波で空間を広がって行き、隙間から漏れ再び広がっていく。そしてそれらは干渉して「干渉模様」
を作るのである。
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「粒」であるのならそれはどちらかの隙間を抜けていくだけであって決して干渉などといった現象を起こさない。

「粒」、それは「波」では無い。

「波」、それは「粒」では無い。

しかし、光は波の性質をもち、さらに粒の性質を持つような特殊な存在らしい。

1922年、アインシュタインの光量子仮説に強く引かれた貴族でもあったルイ・ドゥ・ブロイがある考えをめぐらせていた。彼はボーアが提案していた原子模型とこの光の性質には何か関係があるのでは無いかと考えていた。
ドゥ・ブロイは光にこのような不思議な性質があるのなら電子にもあるのでは無いかと。

そしてその考えはボーアが提案した原子模型を見事に説明する事をドゥ・ブロイは示したのである。
ドゥ・ブロイはその考えを博士号論文にしたのだが彼自身も電子が実際そのような性質を持つかは不明で説明出来なかったのである。しかしその3年後、彼の論文の主張が正しいことが実験的に明らかにされたのである。
ドゥ・ブロイはこの論文で学位を得ると同時にノーベル賞も得たのである。

そして、全ての物質は(微小な範囲で)このような二重性(波の性質をもち、さらに粒の性質を持つ)を持つことが次第に明確になってきたのである。

1個の電子はどちらかのスリットを抜ける(粒子の性質)。
しかし、電子も光と同様に干渉模様を作る(波の性質)。
しかし、どちらかのスリットを抜けた1個の電子は一体何と干渉するのだろうか?
謎は深まったと言うべきだろうか。