備忘録・緊急手術の後

結局手術は6時間を要した。
意識が戻ったのは深夜でした。

手術は粉砕骨折した骨の断片を取り除く作業(大変だったらしい)のとちぎれかけた腕の組織の縫合。結果的には左上腕部から下の抹消神経が機能を失った。(目に見えないような細い神経は縫合できないため)さらに、手首から下の機能をほぼ失ったのでした。これは重要な神経を完全に切断してしまっていたためです。(この神経は縫合してくれました。)

ほぼ、というのは正確に言えば握力はゼロ、ただし手首だけが内側に曲げる機能が残った。つまり手首は上に向かって曲げる機能はゼロでした。ただし、肘の曲げ伸ばしの機能は残っていた。

どんな状態か体験してみましょう。やってみるとわかりますが人体の不思議に触れられますよ。

(1)腕の力を抜いてだらりと下げてみましょう。

(2)手首からも力を抜いて指の力を抜きましょう。

出来るだけ頑張って脱力してみて下さい。

この時の指はどうなっていますか?おそらく僅かに手のひら側に曲がっていませんか?

これは神経が機能していてあなたの脳から無意識に伝達される信号をちゃんと処理しているからです。では神経を切断した私の指はどうなるかというと、、、

地面めがけてまっすぐ下を向きます。働いている力が完全にゼロの状態です。
※ブラブラと揺れます。
手の甲を下に向けてみると驚くほど直角に地面に向かって曲がります。

簡単に言うと操り人形の糸が切れた状態ですね。

ここで「その神経は縫合したんじゃないの?」って思いますよね。私もそう思いました。
ところが神経線維と言われるように1本の紐に見えても細い神経が沢山集まっているらしいのです。なので縫合といっても1本の紐の切れたところを繋ぐのが限界のようです。

つまり1本になっただけで内部の神経線維同士は切れたままなんですね。
だから、上記のような状態なんです。それと抹消神経が機能を失った一つの原因でもあるんです。

担当医によれば神経線維成長(1日3mm、20~30cmは成長)するらしいのと互いに切れた相手を見つけて自己修復するというのです。

「あーよかった。」

と思ったのはつかの間でこれには時間制限があるというのです。

私の場合は確率的には50%という事でした。(微妙だなーー)

期間ですが1ヶ月~3ヶ月との事。
上腕部から成長を開始して手首まで再生されるとするとおよそ30cmくらいなので100日ですから3ヶ月というのは妥当な計算のようです。

この時から苦悩とそして根性のリハビリへの道を歩む事になるのです。