Memo54 外線と波動関数(Feynman diagram)
先日、(S行列における)Wickの定理(縮約)とFeynman図とはある意味Wickの定理(縮約)の可視化と考えることができる点を見てみました。今日は外線について見てみたいと思います。
外線(内線)の種類には次のような意味が割り当てられています。
各線には粒子の運動量が対応します。
※注:実際には光子の場合は矢印を入れません。
※注:実際には光子の場合は矢印を入れません。
矢印の向きには意味があります。素粒子には理論上の解として正エネルギー粒子とそれとは逆の負エネルギー粒子のペアが出てくる場合があります。これは大変困った事になります。正エネルギーの場合、エネルギーを放出して最終的な極限では0(ゼロ)に落ち着きます。ところが負のエネルギーを認めると-∞を目指してしまいます。エネルギーは正で無ければ都合が悪いのです。では負のエネルギーの解を捨てて良いかと言うとさらに困った事に方程式の解として出てくるので人為的に捨てることは出来ません。そこでファインマン流の解釈はこうです。
と解釈しなおす事です。
と解釈しなおす事です。
光子には以下の性質を満たす偏極ベクトル(偏光の縦と横)が割り当てられます。3次元運動量に対して3次元(横)偏極ベクトルは次のように定義されます。
4次元偏極ベクトル
4次元運動量に対して4次元偏極ベクトルは次の条件を満たすベクトルとして定義されます。λ=0を縦偏極と言います。
4次元運動量に対して4次元偏極ベクトルは次の条件を満たすベクトルとして定義されます。λ=0を縦偏極と言います。
■m ≠ 0 の場合
物理的成分と呼ばれる偏極(λ=1,2,3)は次を満たします。
物理的成分と呼ばれる偏極(λ=1,2,3)は次を満たします。
■m = 0 の場合
物理的成分と呼ばれる偏極(λ=1,2)は次を満たいます。
光子は質量(静止質量)を持たないベクトル粒子で(観測される光子として)横偏極しかないので、
物理的成分と呼ばれる偏極(λ=1,2)は次を満たいます。
光子は質量(静止質量)を持たないベクトル粒子で(観測される光子として)横偏極しかないので、
例えばFeynman図の式は
となります。規則どおりやっているだけですね。ちょうど内線が縮約に対応していた事に対して縮約されなかったN積に対応している事が分かります。
積の順序と図に配置した波動関数の順序が逆になっている点に注意
となります。規則どおりやっているだけですね。ちょうど内線が縮約に対応していた事に対して縮約されなかったN積に対応している事が分かります。
積の順序と図に配置した波動関数の順序が逆になっている点に注意
今日見た部分は主に第51話 S行列の具体的な計算(9)でやった事そのものになっている事に気がつきますね。
次回は内線について。