Memo83 高次補正項

最低次数でもある2次の補正なら結果も分かっているのでDysonの積分方程式を少し見てみましょう。補正無しでは素のプロパゲータと頂点因子だから、
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Dysonの積分方程式に代入すると、
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これは1-loopの電子の自己エネルギーと(質量補正が付随していますが)ぴったり一致します。当然と言えばそうなんですが、同様に、
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これは1-loopの光子の自己エネルギーとぴったり一致します。頂点についても同様。

こうして2次の補正が計算された。この結果を再びDyson積分方程式に代入すると4次の補正が計算される事になります。フェルミ粒子の4次の補正部分だけを具体的計算してみましょう。プロパゲータの補正は
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でした。先程の2次の補正の結果は、
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でしたから、4次の補正は先程の方程式、Dysonの積分方程式
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に再度代入しする。ここで、自己エネルギー補正の2項目から無視して
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被積分関数部分に注目して展開すると、
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これから次のようなFeynman図が対応する事が分かります。
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この時点で自己質量補正の寄与と4次の寄与が自動的に追加されて補正が行われている事が分かります。次のように並べてみると高次の逐次計算が単純なFeynman図の生成で得られている事が見て取れます。つまりDyson積分方程式はこの過程を式にしただけとも言えます。
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