Memo85 紫外発散の除去の方針(前編)

紫外発散(ultraviolet divergence)
発散の次数と発散の相殺の手がかり
で、 べき級数展開が発散相殺(除去?)の手がかりになりそうだという事について見てみました。実際、
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は無限大に発散します。
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以前書いたように積分は対数的に発散する。グラフはカットオフパラメータΛで上端を切断してΛを横軸に書いたものでゆっくりと発散に向かう様子が伺える。しかし、その微分は発散しない積分になりました。もっとも定数項Cに無限大を押し付けているので全体としては、やはり発散しています。
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とは言うものの少なくとも「無限大+有限値」という形に分離できている点は注目すべき点です。この場合、定数1個を捨て去れば有限な値が引き出せる事になります。さて、この積分はもともとプロパゲータを簡易的に書いたものでした。なのでkが光子の内線運動量に相当します。そう考えるとこの積分の発散次数Dは1になります。微分を入れてやると無限大が分離できるという事を考えるとこの積分をべき級数、べき級数展開という事は例えば次のようなf(p)をaの周りでテーラー展開する事です。
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このように展開してやれば0次の項は依然として発散しますが1次の項以降は発散しません。実際にやってみると、
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なので、aを中心にしたべき級数展開は、
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0次の項を除去して、N項までの部分級数をグラフに描いてみると、
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今度は発散せずにおおむね-0.7くらいに収束しそうです。実際、べき級数展開した後に0次の項だけを引き算してやるとべき級数展開は
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従って、
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となって収束する。そしてちゃんと分離出来ています。次の例を同様に考えて見ます。
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これはちょうど発散次数D=2に相当します。この場合は0次の項と1次の項は発散しますが2次の項以降は発散していません。
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さて、以上の話をまとめるとべき級数展開して
D=1の場合0次の項を捨てて有限項が分離できました。
D=2の場合0次、1次の項を捨てて有限項が分離できました。
この類推からべき級数展開して発散次数がDの場合0次の項から(D-1) 次の項を除去してやれば良さそうです。実際この類推は正しいようなのです。「場の量子論 中西襄p260」

ともかく発散級数(無限個の和の)最初のたった数項を捨てる(引き算する)だけでその後は無限に足しても発散しないで収束する。なんとも不思議な気がします。