疑似科学がダメにする

疑似科学は客観的には楽しいのだが、、、、。

ミスター・マリック氏もメディアに登場した時は超能力者の様相だった。
もっとも超魔術という言葉を使うようになっていた。

私がミスターマリックを知ったのはある番組(確か大橋巨泉の「こんなモノいらない」)で「超能力なんて無い」という証拠の一つとして大橋巨泉さんが紹介した一人のマジシャン(その頃は殆ど無名に近かった)が彼だった。

百円玉にタバコを貫通させるという今まで見た事も無い技を見せ付けてくれた。

この時はそれは衝撃的でした。この放送を見た人はみんなビックリしたんじゃないだろうか?
そもそもそんなマジックを見た事が無かった。
マジックと言えばトランプやハトが定番だろうけどこの常識を破った瞬間だった。

その直後から週刊誌が取り上げ「彼は神か悪魔か」といったようにちょっとした騒ぎがあった。

しかし面白いもので先の番組でもこれはマジックと言っていたにもかかわらず、マジックと言って「実は超能力の実演だったとしても分からない」といったコメントもあった。

実際、彼のマジックがブームに乗ったとき「いやーあれは絶対トリックなんかでは出来ないよ」といった事を言う同僚や友人がかなり居たのも事実だ。

逆に言えば私たちの一般人の想像を超えたトリック(技)がある。
いつも常識と経験で見てしまうとそれは超能力という世界に当てはめるしかなくなるのだろう。
こうして自分の常識と経験の枠をちょっとでも超えようものなら異世界の存在を認めてしまう事は怖い事だ。

もうすこし強く言えば自分が科学者でもない限り「自分の常識と経験の枠を越えていたら」それは紛れも無く騙されているのでは?疑った方が正しいだろう。

これと似た体験は他にもある。
かなり昔の事だが深夜に緊急放送という形で放送された番組で「Science Report」というのがあった。ご覧になった方のどれだけが驚いたか分からないけど至って真面目な番組だった。

イギリスのアングリアTVが作製した科学ドキュメンタリーらしい。
内容は科学ドキュメンタリーを作っていく過程でスタッフが奇妙な事に気が付く。
行方不明になっている色んな分野の学者。
それを追っていくうちに米ソ冷戦の裏で国家間で地球温暖化等で地球に住めなくなった場合の対応策が進められている。といった事を暴いてゆく。

私も科学ドキュメンタリーとして見てしまったが深夜だったの最後は寝てしまった。
ずーっと忘れていたのですがその後、ある番組で取り上げられていた(矢追さんのアレです)。
インチキ・ドキュメンタリーだなと思っていましたがこの時点で確実になりました(笑)。
後になって「最後に配役が出ている」、制作日が4月1日(エイプリルフール)という事も分かった。

実はこの番組放送後も先程のマリックと同様な現象が世界中で起きていたらしい。
あれは、実話だ」と。まったく困ったものだ。

聞いた話によるとあまりにも騒ぎが大きいため制作側がわざわざあれはフィクションだというコメントを出したらしい。しかし、一旦こうなるとやはり同様に「きっと何らかの陰謀であえてフィクションというコメントを出したんだ」という展開になる。矢追さんは「あれは、実話だ」路線で番組を編成したんでしょうね。これも困ったものです。

変な宗教や団体がこういった疑似科学を駆使すると同様な現象が勃発して科学者が否定しても止める事は不可能になる。そこへ我々が判断を誤るとその深みにはまってしまうのだろう。
なぜなら「次々とそれを示す証拠が(捏造されて)出てくる」から否定する方が追いつかなくなる。


物理学者でもあるサイエンスライター竹内薫はその怖さを体験を持って語っている。

「実は、かくいう私も疑似科学の被害に遭い、人生そのものを狂わされた一人である。」
「有名科学誌の編集者の紹介により科学書の執筆に携わったところ、その本が疑似科学本であることが判明し、私は科学界から追放される憂き目を見た」。

その信頼を回復するのに十数年の歳月が掛かったと語っています。
多分、その本は徳間書店刊『「相対論」はやはり間違っていた』だと思われる。

実はこの本、8人が異なる視点で担当していて竹内薫氏は『一般相対論と量子力学の概念的矛盾』という節を書いています。というかこの部分だけが疑似科学になっていないのはちょっと物理に詳しい方なら「えーーなんで」って思ってしまいます。まあ、今から思えばそこを書いていたのは竹内薫氏だったから当然な訳です。

「相対論」はなんでこんなにいじめられるんでしょうかね。それも不思議です。

「相対論は間違っている」を主張すある著者はこう言います。

おかしい事に気がついてないようです」と、、、

まったくその通りです(笑)。