夜はなんで暗くなるの?

 私が高校生ころ暇つぶしに入った科学館、プラネタリュームのその日のお題がそれだった。正直言って子供向けの施設という観もあったのでさして興味も無かった。日が沈めば暗くなる。こんなのをお題にするはずは無いのでなので太陽の動きや等に関する話だろうと思っていました。しかし、この公演が終わったころには正直言って鳥肌がたったような鮮烈な感覚がありました。

かいつまんで話すと。
光は1/(r*r)に(rは距離)比例して弱まる。つまり光源の距離が倍になれば1/4に衰弱する。これは実体験とも一致するから分かりやすい。視界に入る光源が少ないと距離が遠のくと見る見る暗くなっていってしまう。ところがこれが天空となると莫大な数の天体が輝いているはずで光が衰弱するのを補うのには有り余るのである。結果的に日没後も白昼同然に明るいはずなのだ。

当時は知る由も無かったがこれは「オルバースの背理」として知られている。もうちょっとアカデミックに考えてみると、半径rの球の表面積は 4πr*r、球の中心が自分の目と考えてもいい。ある半径rでその内側に光源となりうる星がいくつかるだろうか?。

星の分布密度をρとすると半径rと半径r+drの中には ρ*4π*r*r*dr個の光源(星)が入る。
光は1/(r*r)で衰弱するからρ*4π*r*r*dr個の光は地球(目)に到達する頃には
ρ*4π*r*r*dr/ (r*r)=ρ*4π*dr となる。
なので地球から半径rの内側の光源からの全ての光量は ∫ρ*4π*dr =ρ*4*π*r となる。

つまり、半径rに比例して光量は減衰するどころか増えてしまう。
とにかく夜が暗くなることが説明できない事になってしまう。

※夜が暗いのは宇宙が空間的に無限でない一つの根拠になり得る。