Note271 アハラノフの弱い測定(Weak Measurement)

ある量子状態から別の量子状態へ最短時間で変化させるハミルトニアンを考える。
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時間を正の方向に発展させるシュレーディンガー方程式と時間を負の方向に発展させるシュレーディンガ方程式を考え、
初期状態 |in > と終状態 |out > を固定してこのペアの途中経過を得られる情報量を限りなく少ない測定を行う。ただし、測定値という完全な情報は得られないがこれを何度も行う事で「弱い値」が得られる。アハロノフらこれを「弱い測定」と呼んでいるようだ。
※ペアというのは重要なキーワードだ。
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ある「始状態」から特定の「終状態」になる観測結果だけを選んで得たデータだけから
平均値を得る事=>弱い測定

それによると系の物理量 A について始状態の量子集団Ψと終状態の量子集団φについて
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を アハロノフはA の「弱い値」と呼んでいる。
「弱い値」は S行列要素に似ているが決定的な違いは時間発展の途中で弱い測定をしていることだ。
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さらに、一般には複素数になるし、
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という状況を考えれば測定値として期待される範囲を逸脱する値を取り得るのも弱い値としては変でもなんでも無いと思う。弱い値は初期状態 |in > と終状態 |out >を固定した統計的集団の属性値とも言えるが多世界解釈との関連を示唆しているという考えもあるようだ。