Note278 ハーディのパラドックス(Hardy's Paradox)

2つの干渉計それぞれに電子と陽電子を入れるとぞれが検出される。今度はその2つの干渉計を途中で結合したらどうなるだろうか?
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もし干渉計の交差点で電子と陽電子が出会えば対消滅を起こして終わり。しかし、もし出合わなかったらそれは先ほどと同様に独立に検出されるはずだ。しかし量子力学によれば,そのどちらでもない場合がある。ただこれを「古典的」解釈にこだわればという前置きをして

この時、電子と陽電子は果たして出合ったのか?それとも出合わなかったのか?

という事になる。
これは1992年,英国の物理学者ハーディー(Lucien Hardyが提出したパラドックスだ。
L. Hardy, Phys. Rev. Lett. 68, 2981 (1992).

ちなみにこのハーディのパラドクスとアハラノフの弱測定とは別ものだという事は少し勉強すれば分かる事だがどうも混同した情報で混乱してしまう。

大阪大学の大学院生、横田一広さんと井元信之教授(New J. Phys. 11 (2009) 033011)の実験結果であるマイナスの確率にからむ話はハーディのパラドクスにおける両粒子が実際にはどうなっているのかを弱測定によって得た結果だ。実際には電子と陽電子ではなく光子を使っている。

でもハーディのパラドクスの意味は上記のように確かにパラドックスだが何故そのようなパラドックスになるのだろう?
次回は少し詳しく見てみようと思う。