なぜ津波シミュレーションなのか(命を守る方法は?)

なぜ津波シミュレーションなのか?
 
そう聞かれることがある。
しかし、ほとんどそれに付いて説明をしたことがないし、その気もない。
頭の中では「どうせわかりゃしない」と思ってしまう。
 
2011.3.11、その日まで遡らなければならない。
名古屋にいたが大きな揺れを感じた、それもこれはただ事では無いと直感した。
ビルの12階という関係もあったのだろうけどまともに歩けない状態に近いほどの揺れだった。
その年、5月に妻と東京に旅行に行ってみるか?という話をしていいて楽しみにしていたが延期にした。その日から私も妻もどことなく体調を崩していたと思う。

あ、そういえばAC、企業がCMを一斉自粛した結果これでもかというほどの怒涛のACオンパレード。
妻は「えーしー」というフレーズで頭がおかしくなりそう、、という。
気にも留めていなかった改めて気が付いてみると確かにイライラしてしまう。
しばらくして、、
おそらく同様な現象が多く起きていたのだろうか、CMの最後のエーシーというナレーションがなくなっていた。
 
それでもどこと無く気分が悪い。
それはやはり津波が東北を襲うあの空撮だと思う。衝撃というか恐ろしいというか、、、
2万人近い死者行方不明者をだしたと思うとさらに恐ろしい。
 
自宅は海岸から数キロ。
果たして同じことが起きたら大丈夫なんだろうか?
標高は15m。「うん、これなら大丈夫」、、、
本当だろうが?
実はこの疑問こそがトリガーだった。

この当時は津波の高さの定義すら知らなかった。
家族の生命を守ること。これこそがトリガーを強く引いた。
 
津波が起きるとはどういうことなのか?
なにが恐ろしいのか?
避難場所はどこなのか?
地震発生からどのタイミングで避難すれば良いのか?
なにを準備していたら良いのか?
 
これらの課題のために、津波のメカニズムというか理論の勉強を独学で始めた。
それと平行して避難場所に関して家族で共通の認識を持つようにした。
準備するものは生命維持に最低限必要なものに絞った。
※理由は後で述べる。
最悪の状態を想定して以下準備をした。
・小型LED懐中電灯(夜間避難用)
・防寒断熱フィルムシート(真冬の時)
・携帯ラジオ
・応急キット
・その他
さらに、食料と飲料水と言いたいが、、、
これらと幼児を連れて私がいない時に妻が単独で想定避難場所に行けるか?
どれくらい時間が掛かるか?
これも実際に試してみた。これは試しておいて良かったと思う。
やってみると以外に時間が掛かる上に高い位置を目指すため通常の避難グッツでは荷物は命取りになる事に気が付いた。そういう理由で避難時に必要なものだけに極力制限した。
さらに、交通状況で避難可能か?、土砂崩れの危険がありそうな場所は無いか?がチェックできた。家族で避難訓練は一度はやっておいたほうが良い。それも課題問題点発掘を目的として。
 
さて、津波数値解析が出来るところまで出来たのだがやはり標高15mは安全とは言えない。
つまり、津波高さと遡上高さの違いだ。
人間の死亡率は浸水深さと大きな関係がある。プールの深さと全く違う事を知った。
1mの浸水では死亡率は驚く無かれ100%
つまり大人の胸位まで浸水では生き延びるのは不可能に近いのだ。
仮に15mの津波高さで標高20mまで遡上で浸水1mだったとしても生き残れない訳だ。
東北で大きな被害が出たのはこの事も大きな要因だろう。
 
私のシミュレーションでは南海トラフ地震が起きた場合、自宅付近まで津波が来るまでは1時間弱ある事も分かった。これは概ね中央防災会議のシミュレーションとも合致している。

つまり、避難のタイミングも明確になる。
状況把握する時間もある程度ある事も分かった。
しかし、まだまだ大きな見落としがあるに違いないという気持ちは持ち続けていこうと思っている。
結局は「知恵」こそ最大の防御になるのだとつくづく思ったのである。