無の状態(無から生まれては消える小さな小さな何かが蠢いている)

無の状態=「真空」というの現代物理学においては正しい解釈でない。

一つの箱を用意する。
最初は色んな物質(空気とか)が入っているから「無の状態」ではない。そこでこの物質をどんどん取り除いていく。そうすると終には何も無い真空となる。しかし、この真空の箱でもこちら側に磁石をおいて箱の向こう側に方位磁石をおけばちゃんと反応する。これは「場」という存在があるためである。電磁気力はこの場を伝播するのである。さらにこの箱の中にも2点間距離が測定できて時間も流れている。
物理学上での真の「無の状態」とは空間も時間も取り去った状態を言う。
宇宙誕生の前(こいう言い方が正しいかは別として)をこの真の「無の状態」とすると完全な状態と言うか何も起きない、ましてや宇宙など誕生すらしない。
そこで物理学ではこの真の「無の状態」ではあるが「物理法則」が存在すると仮定する。
何も無いのにエネルギー保存とかの「物理法則」が存在するというのは何とも宗教的ではあるが、こういうのを物理学者は「スーパースペース」と呼んでいる。

とにかくそう考えると量子力学的な法則から宇宙がポンと誕生する可能性がある。
マサチューセッツ州ケンブリッジのタフツ大学のアレキサンダー・ビレンケン博士等はそう考えている。
量子力学(正しくは量子力学場の理論)が予想する無から生まれた宇宙の泡の大きさは、わずか10の-34乗cmと試算している。さらに量子力学は真空でさえ粒子と反粒子がたえず発生したり消滅したりする(対生成・消滅という)と予想している。

そして近年(1997)になってラモロー( Steve K. Lamoreaux )が、この現象を高精度な実験によって
検証することに成功している。これは「二枚の金属板を接近させて並べると電磁的な吸引力が働く」カシミール効果」と呼ばれる現象で確認したのである。誤解を招くかも知れないのであえて説明すると、この二枚の金属板に既存で働く「力」の効果を全て差し引いても引き合ってしまうという意味である。これはその隙間に粒子と反粒子が対生成・消滅を繰り返している事によって発生している。

ちなみ数学においても集合A={a,b,c,d} から要素a,b,c,dを取り除くと空集合φとなるが、
φ≠{φ} である。空集合φが存在する場合は空集合φでは無い訳で、これも何か宗教的ですね。


何も無い2枚の金属性の「鏡」、この2枚の鏡の間には無から生まれては消える小さな小さな何かが蠢いているのである。