第10話 量子力学の基本1(量子力学的観測とオブザーバブル)
しかし、実はこれは伏線で、旨い表記方法になっています。
ここで |A> の様な表記は後に出てきますが反対の <A| という表記と一緒に使います。
ここで |A> の様な表記は後に出てきますが反対の <A| という表記と一緒に使います。
この表記はディラックが導入した表記で |A> を ケット A と言います。 また反対の <A| を ブラ A と言います。この表記はセットになって合わせて ブラケット と呼びます。このブラとケットを使った規則は簡単なものですが慣れると大変便利な表記です。
例えば |コイン表> , |コイン裏> あるいは |生きている>, |死んでいる> のように使います。
実際は |Ψ> はシュレーディンガー方程式の解(波動関数)は
から得られます。なので具体的な |コイン表> の式は波動関数の形で与えられるのですがその具体的な式はここでは考えない(考える必要が無い。というかわかりません)。
少なくとも |コイン表> という波動関数は一般的には複素数となるという事だけ把握しておけば良いと思います。
実際は |Ψ> はシュレーディンガー方程式の解(波動関数)は
H |Ψ> = E |Ψ> |
少なくとも |コイン表> という波動関数は一般的には複素数となるという事だけ把握しておけば良いと思います。
状態|Ψ>に対するQによる観測で観測値qが得られる事を量子力学的観測と言い
と書きます。(qをQの固有値と言います)
※メモ
あえてQを観測と呼んでいます。実際には Q|Ψ> = q|Ψ> の関係から Q = q のような表記も意味を知った上で書くとQが観測値と同一視できます。なのでQを「量子力学的物理量」と言う場合もあります。また単に物理量と言ったりする事があります。このように従来は数値として得られる観測値(物理量)は量子力学では単体では値にならない作用素(演算子)に置き換わってしまいます。これを「量子化される」と言います。
作用素は値では無い。Q|Ψ> は|Ψ>に作用素Qが作用しているが q|Ψ> は値qとの普通の積である。このような関係で最も単純な例として
と設定すると
Q|Ψ>= q|Ψ> |
※本当は逆で Q|Ψ> = q|Ψ> となるとき観測Qの観測値がqになると言う事です。 |
※メモ
あえてQを観測と呼んでいます。実際には Q|Ψ> = q|Ψ> の関係から Q = q のような表記も意味を知った上で書くとQが観測値と同一視できます。なのでQを「量子力学的物理量」と言う場合もあります。また単に物理量と言ったりする事があります。このように従来は数値として得られる観測値(物理量)は量子力学では単体では値にならない作用素(演算子)に置き換わってしまいます。これを「量子化される」と言います。
と設定すると
となってちゃんと Q|Ψ> = q|Ψ> となっています。
※微分を習っていない方はそんな計算もあるんだと思ってくれるだけで良いです。 |
Q|ψ> = q |ψ> となるとき観測Qによる状態 |ψ> の観測値は q になります。
★作用素(オブザーバブル)の掛け算ルール
掛け算と引き算の組み合わせで次のようなかぎ括弧を使った表記をよく使います。交換積と言いますが、
と定義されます。PQ - QP は(一般的には)ゼロにはなりません。
これは観測Pと観測Qの順番を変えると結果が変わるという事も意味します。また
[P, Q] = 0
なら観測Pと観測Qの順番を変えても結果が変わらない事を表します。例えば波動関数と作用素P,Qを次のよう設定をすると、
掛け算と引き算の組み合わせで次のようなかぎ括弧を使った表記をよく使います。交換積と言いますが、
[P, Q] ≡ PQ - QP |
これは観測Pと観測Qの順番を変えると結果が変わるという事も意味します。また
[P, Q] = 0
なら観測Pと観測Qの順番を変えても結果が変わらない事を表します。例えば波動関数と作用素P,Qを次のよう設定をすると、
実際に計算してみると、
となってゼロにはなりませんね。
c数とq数
作用素(オブザーバブル)と普通の数の計算は若干異なる点に注意すれば怖い事は無い。このような事から作用素(オブザーバブル)をq数と呼んで若干異なる数の計算として扱います。逆に一般の実数とか複素数はq数に対してc数と呼びます。
作用素(オブザーバブル)と普通の数の計算は若干異なる点に注意すれば怖い事は無い。このような事から作用素(オブザーバブル)をq数と呼んで若干異なる数の計算として扱います。逆に一般の実数とか複素数はq数に対してc数と呼びます。
c数は掛け算の順序で結果は変わらない。 q数は掛け算の順序で結果が変わるという言い方も出来ます。