第21話 ベルの不等式の破れ


a の観測A(θa)は +1 または -1
b の観測B(θb)は +1 または -1
aの重ね合わせ状態および bの重ね合わせ状態として
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この状態の観測では波束の収束によって
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または
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にそれぞの確率50%で収束する。ここで基底を変換して
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を考えると(それぞれa側とb側でθは異なるとする)。
A(θa)とB(θb)の同時観測の重ね合わせ状態として 
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よって、
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これから観測確率を読み取ると、
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50%で確率的に五分五分でしかもθに無関係である事がわかる。
同様にb側で|-1> を観測する確率も同確率だとわかる。なのでこの(瞬時の)現象を通して、粒子aの所からもう一方の粒子bの所へ情報を送ることはできそうもないです。両方まとめて見るからこそこのような気味の悪い相関があるともいえる。ここでもやはり
「光速を超えた情報伝達」といった認識は誤り
と言える。


ベルの不等式の破れ
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観測により一方の状態が決まると、瞬時に他方の状態も決まる状態、非局在性が無いなら(隠れた変数があるなら)ベルの不等式を満たしているはずである。
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とすると、
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となってベルの不等式が破れている。局所実在論では決して記述できない自然現象がある。
なので量子力学には隠れた変数は無いようだ。なのでこの(エンタングルメント)状態に関する気味の悪い相関は一般的な常識を超えた強い相関関係のようです。

そして有名な実験が1982年フランスのアスペらによって行われた。2光子偏光実験で、量子力学が(どうやら)正しいことが実験的に確認されたのである。このような相関に関する実験は別にアスペの実験だけではなく1995年にドイツとアメリカがそれぞれ行っている。それ以外にも数々の実験が行われているがいずれも量子力学がやはり正しいという結果を得ている。

●メモ
Bellの不等式に関する実験
A.Aspect, J.Dalibard and G.Roger : "Experimental Test of Bell's Inequalities Using Time-Varying Analyzers" Phys.Rev.Lett. 49(1982)