調べようとしない人たちとArgumentum ad hominem

Argumentum ad hominem
対人論証とか対象の無知に基づく論証と呼ばれています。擬似科学で良く使われる論法(論証)。(かなと私は思いますが)。

例えばこんな感じ、
医者:残念ですが入院して手術しないと治療は困難です。
A氏:これを使えば治ります。
善い人:本当ですか?
A氏:本当です。
善い人:医者は駄目だって言ってますが?
A氏:現代医学は私の方法を認めません。それを認めるとは彼らが困るからです。
A氏:彼らはそれを隠しているのです。彼らは嘘をついているんです。
善い人:そーなんですか!!。Aさん、よろしくお願いいたします。


Argumentum ad hominemは「対人攻撃」と訳される場合があります。上記の何処が対人攻撃なのか?

これは時としてイジメの論法としても使われます。本来議論すべき点を他の要因に押し付けて解決したように思わせる論法です。もう少し異なるバリエーションの例を挙げてみると、

善い人:それは間違っています。
A氏:お前のその学歴で理解できるわけ無いだろ、バカ言うんじゃない。

善い人:なんで遅刻してくるんですか?
A氏:お前だって以前遅刻した事があるだろ。

刑事:お前が犯人だという事は色んな証拠からも明らかだ。アリバイも無いだろ。
A氏:俺のアリバイは何者かによって隠蔽されているんだ。

色んなバリエーションが考えられます。もう少し分かりやすい例を挙げましょう。
設定としてAさんと検事は幼馴染だったとしましょう。この二人は子供の時に万引きをした事があります。そして大人になってA氏は窃盗で捕まり、今その裁きが下るところです。A氏は何とかして罪を逃れたいと考えています。

検事:お前は有罪だ。
A氏:お前だって昔、万引きしただろ!!
検事:、、、(まいったなぁー)
検事:やっぱ無罪だね。

と考えるでしょが、これは間違っていますね。本来は

検事:お前は有罪だ。
A氏:お前だって昔、万引きしただろ!!
検事:関係ないね!!
検事:やっぱ有罪だね。
です。本来の議論とは異なる事で相手または他人を攻撃しておいてドサクサにまぎれて正当化してしおうという論法です。つまり議論にたいする反論のはずが相手または他人を攻撃しているような状況です。よく見ますね。政治家が見本を見せてくれています。

惑わされてはいけません。最初の話ではA氏が「彼らはそれを隠しているのです。彼らは嘘をついているんです。」という点です。この場合は医者を攻撃対象にして「善い人」を丸め込んでいます。少なくともこの話が嘘か本当かは別にしてA氏の方法で治療できる証拠どこにもは無いですね。

擬似科学の解説でこの論法が使われていないか注意して見ると面白いかもしれません。
そして専門家の見解をちゃんと調べてみる事です。最初の話で「善い人」が他の医者や専門家に尋ねてみれば「よろしくお願いいたします」までは行かずに病院に行ったと思います。