Memo6 ベクトルと上下の添え字の意味

前回、添え字の位置に意味があると言いましたが、もう少しルール(規則)を整理しておきましょう。量子電磁気力学(QED)が相対論と密接な関係があるため避けては通れないルールだと思います。相対論の本ではじめにゾッとするのは添え字があちこちに付いた如何にも難しそうな数式の羅列ですが上下の添え字の意味を知ってしまえば無闇に怖がる必要もありません。大抵は食わず嫌いで避けてしまいますが実は大変便利な表記で結構重宝します。
まずはEinsteinの縮約規約(規則)です。Einsteinと聞いて怖気づいてしまいますが大した事は無いです(怒られるかな?)。
「(上下の)同じ添え字については和をとる」
という約束です。
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は、この規則に従えば、
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という意味です。これはよく見るとベクトルの座標変換の形をしています。4次元で考えると、
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と同じ意味になっています。さらに上下に添え字を使い分けする事で旨くベクトルの座標変換が描ける事になります。さらに上下に添え字を使い分けすると行列Aが次のように書けます。
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ベクトル
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と変換される「量」だと考えると、この考えは拡張できて次のように整理できます。

縦ベクトル(反変ベクトル)
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横ベクトル(共変ベクトル)
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さらに、上下添え字が複数、混在も考えられて、

2階テンソル(2階反変テンソル
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3階テンソル(2階反変1階共変テンソル
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が定義できます。この調子でもっと書けば、、、

(m+1)(n+1)階テンソル((m+1)階反変(n+1)階共変テンソル
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こうして順に眺めてくると上下の添え字は怖くないですね。さらに添え字のやり繰りはイメージ的に分数の計算に類似しています。
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例えば、こんな感じです。
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荒っぽく言うとこのように添え字を約分する事を「縮約」といいます。

特殊なケースとして(変換されない量)スカラーは0階テンソルとも言えます。
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例えば反変ベクトルと共変ベクトルを縮約するとスカラーになるという言い方をされても理解できますね。

次回は4次元運動量とその他の表記規則について学んでみたいと思います。