Memo23 場の量子化に向けて(6)交換関係で気になった点

余談ですが交換関係の要請にどんな意味があるんだろうか?と思っていました。例えば
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これは量子力学での交換関係
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が物理量を演算子に置換する(しなければならない)一つの理由付けに成っていたものに対応して場を量子化演算子に置換する第二量子化)の理由付けに対応していそうです。なのでこの交換関係の要請にはシロートながらスッキリする。でも、
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これは?と考えてしまいました。ずーっと気になってましたが、よく考えるとこれは疑似科学で言うところの瞬時の影響とかを禁止するために必要な要請だと気が付いた。「場の量子論・中西襄著」では明示的には記載がなく単に要請しているだけだったので中々気が付かなかった。これは少し[相対性理論のミンコフスキー時空を思い出さないと気が付かないかもしれない。
そう言えば場の量子論相対性理論の要請を満たす理論だった。ミンコフスキー時空はこんな図で啓蒙書レベルでのこの図は出てきますね。
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これらの時間的(Time like)、空間的(Space like)、光的(Light like)はそれぞれ次のような意味がある。
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時空点間距離(ピタゴラスの定理)の式が正か負かゼロかです。図はこう考えると分かりやすいかもしれません。それは(x,y,z)の単位を1光年単位で時間方向を1年と取れば、光的なラインは1年で1光年の45度のラインなので光速度の世界を意味します。つまり45度より低い角度の世界(space like)では光の速度を突破した世界になります。なので1粒子(例えば私か貴方の)の世界は斜線で塗りつぶした世界に限定されます。
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これらの事を念頭において先程の交換関係を見直してみると。若干見やすくすため略記すると(同時刻とします)
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もしこれがゼロに成らないとした場合、
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これはイメージ的にはA(x)の観測が同時刻のB(y)を観測するのとその逆で違いがある事を表している。これは量子力学で見たように、A(x)の観測の影響を同時刻にB(y)が受けているという意味に似ている。つまり同時刻の交換関係がゼロでないと因果律を破ってしまいます。
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互いに空間的な2粒子には因果関係は無い。この場合互いに影響しあう事は無いはずだから同時刻の交換関係はゼロと要請するのだと思います。こういった因果律を特に
微視的因果律(microscopic causality)
という。


そうすると、因果律を壊さないという仮定を最初から設定しているので場の量子論では基本的には疑似科学で言うところの「瞬時の~」は盛り込まれていない。
こんなツッコミが聞こえてきます。

「そりゃあんた。「瞬時の~」は理論的にあり得ないって言うけどその理論って最初っからそういう仮定をしてるから当たり前じゃないか?、だから現実に無いという証明になって無いじゃん」

ん、、、私にはちゃんとした反論が出来ません。ところが実際はこの事を仮定するおかげで場の量子論では粒子と反粒子の存在が理論的に自然に導かれるらしい。そしてこの粒子と反粒子の存在は実験で検証されているからやはりこの仮定は正当なもだと思います。(思いたい。)

ちなみに、因果律を破る空間的な実態としてタキオン(tachyon)という粒子の存在を盛り込む事も考えられたようですが実験と合うような場の量子論は結局は構成できないらしい。つまりそのような存在を認めると実験と合わない理論しか構築できず、やはりタキオンは存在しないとするのが正しいようです。