Note24 真空のエネルギー(Zero Point Energyゼロ点エネルギー)

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量子力学でもゼロ点エネルギーは既に現れます。簡単な単振動(調和振動子モデル)でもその存在は理論から出てきます。
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こんな感じでエネルギーは飛び飛びの値のみが許されます。重要なのは基底状態と呼ばれるエネルギーが最低の状態はこの解からはn=0 の場合しかないので、
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つまりエネルギー=ゼロの状態ではない。これが基本的なZero Point Energy(ZPE) ゼロ点エネルギーと呼ばれるものになります。また別の視点からもこのような揺らぎは無視できません。それは
不確定性原理がエネルギーと時間の間にも要請されていることから来ます。
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どんなに頑張ってもエネルギーのバラツキはゼロに出来ません。また場の量子論ではこの状況はもっと深刻です。というようり神秘的です。

※この関係式は本当の意味での不確定性原理ではありません。
※時刻とエネルギーの関係を同時に確定することができないという解釈は間違いとされています。



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真空から素粒子が現れては消える現象が
理論から自然に(S行列の2次の寄与で)出てきます。このような事情から無の状態はありえないと考え、真空とはエネルギーの最低状態と再定義するようです。
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真空とは言っても無数の素粒子が生まれては消えている。図のようなFeynman図(真空泡とも呼ばれています)は全て内線なので個々に現れては消える素粒子は仮想粒子であって観測には絶対にかかりません。

さらに、最近の宇宙観測によれば宇宙には正体不明の力が満ちていて、宇宙空間を凄まじい勢いで広げている事が知られています。これもまた一種の真空のエネルギーでは無いかと言われているが実際は定かでは無い。全く神秘的ですね。

そのためなのか疑似科学の絶好の餌食にもなっています。いわゆる超常現象(超能力とかUFOとか)の類です。わからないでも無いが今のところ目に見えるような所で真空のエネルギーが寄与する効果は見つかっていないようです。それこそ精緻極まる観測でその存在が確かめられている程度です。

さて、この真空のエネルギーは取り出せるのでしょうか?H.B.G.Casimirがこの不思議なエネルギーが実際に観測できるForce(力)として実際に得られる事を予測(1948年)しました。そしてこれは実際に観測され今日これは
Casimir効果(Casimir Force)
と呼ばれています。
M.J.Sparnaay(1958)が2枚の金属板間のCasimir Forceを計測しましたがその効果は確認出来なかったようです。ただ、Casimir効果の存在の否定もできなかったようです。さらに時を経て1996年、S.K.LamoreauxがCasimir効果の存在の観測に成功し、その効果の存在は明らかになった。ただし、この実験は金属板と球体によって行われている。2枚の金属板間のCasimir Forceは2002年G.Bressiらによって確認された

超常現象と結び付けたい気持ちも分かるが100Wの電球を1秒間光らせるには、1/100万mの間隔で置かれた、一辺が200kmの正方形の金属板が2つ必要らしい。