Note25 真空のエネルギーと繰り込み

空間に長さがLの立方体を考える。箱の中でエネルギーは飛び飛びの値をとる。1次元での真空のエネルギーは
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で、

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の部分は誰でも分かるように無限大に発散する。そこで繰り込みが必要になってくる訳だが難しい事は抜きにしてゼータ関数を使って繰り込む事が出来る(有限値が引き出せる)らしい。
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なのでs=-1では意味が無いわけですが、ここでちょっと形式的にs=-1でゼータ関数を書いてみると、
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定義域を逸脱しているので全く意味の無い式(書いただけ)になっている。ともかく形式的には

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と書けます。

そこで繰り込みを行う訳だがそれは物理的な実測値に置き換えてやれば良い。

その値が(-1/12)だという事らしいのでζ(-1)を繰り込んでその値に置き換えると

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と有限になる。

一方、ゼータ関数の定義域を解析接続で広げる事が出来る。
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最初の定義と重ねると滑らかに広げられている事が良くわかる。
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こうして広げたゼータ関数を使うと
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が得られます。当然左辺のゼータ関数は定義域を広げたヤツです。形式的に書いた式(最初の定義のヤツ)では、
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そもそも両者は比較すら出来ない代物だが定義域を広げた経緯を十分承知の上であれば

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と「表記」される場合もあるようです。どうにも後を引く気持ちの悪さを感じてしまう。


で、繰り込みだけど電荷も質量も無いし、繰り込み常数Z1,Z2,Z3で繰り込まれるのではなかったのか?
(参)第88話 繰り込み(Renormalization)
どの部分が繰り込み常数に押し付けられるのか?
といった疑問が浮かぶ。

ところがそう思って「場の量子論 中西襄著」をペラペラめくって見るとp268に繰り込みによらない有限化という展開があった。とりあえず摘み食いで勉強したのでここは読んでいなかった。
どうやらその有限化がここで書いた繰り込みという意味らしい。
なんとなくストーリーが繋がった気がする。

次回はちょっとこの繰り込み(有限化)について見てみたいと思います。