Note27 真空の揺らぎが生み出す力の存在(1)

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真空に2枚の金属板を置くと2枚の板は未知の力で引き合う。もちろん2枚の板に働く既知のあらゆる効果を取り除いても働く未知の力です。この効果は実際に観測されていて真空が生み出すエネルギーによるものだと考えられています。カシミヤ効果あるいはカシミール効果とも呼ばれています。この時、仮想光子の生成消滅が金属板の内側では,板上に節をもつ定常波だけに制限されることになります。

真空エネルギーによって2枚の板には単位面積当たり、
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という力が働く。こうして、真空中に置かれた2枚の板は真空のエネルギーによって有限な引力を受けて引き合うという現象が予想されます。解析的な結果は
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です。これがカシミール効果と言う事ですね。これをちょっと見てみる事にしてみます。

さて、ゼロ点エネルギーは無限大になっていました。2枚の板の間ではその間のみが離散的となって、光子の偏光が2通りあるので、
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となりますが、残念ながらこれも無限大に発散します。

先日の計算方法(Regularization)を念頭において形式的計算をしてみます。

まず、次の変数変換を行います。
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そうすると積分は次のようになります。
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さらに次のような変数変換を行います。
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これは簡単な積分
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から、
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と書けます。まだ無限大に発散していますね。その事は忘れて計算を進めます。さらに次の変数変換を行います。かなり作為的な変換ですが、
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この変数変換と次の簡単な積分
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から関係
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が得られますからこれを代入すると、
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変数を書き換えると、
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となります。無限大引く無限大が出てきましたね。


ここまでの計算は
Electronic Journal of Theoretical Physics 3, No. 13 (2006) 121{126
A Simply Regularized Derivation of the Casimir Force
H. Razmi
を参考にしました。


次回は実際にRegularizationを使った計算を試みてみようと思います。