アモールとプシケ

先日に続いてギリシャ神話(良い話と思ったもの)を紹介しようと思います。

アモールとプシケ
この話は幾つも教訓となる場面があって良い話しだと思います。
さて、3人の美しい姉妹、実はそのうちの一人の名がプシケです。誰もこの3姉妹は美しいと言っていましたがこの事で美の神ビーナス(アフロデティ)の怒りを買ってしまいます。
まあ理不尽な話ですが、、、

それで、ビーナスはこの最も美しいプシケを貶めるための罠を仕掛けます。
仕掛け人はビーナスの息子キューピットです。キューピットは弓矢の達人です。キューピットの放った矢に刺されば始めに見た相手を愛してしまいます。そこでビーナスは息子キューピットにプシケが不細工な男の前に来た時矢を放つように命じます。

やがてそのチャンスが巡ってきます。
キューピットはタイミングと狙いを定めて弓を放とうとしますがその美しい娘の姿に手元が狂い自分の指に矢を刺してしまいます。当然の事ですがキューピットはプシケに恋をしてしまいます。

一方3姉妹のうち二人は既に結婚していましたが一番美しいプシケが嫁にも行かず残っていました。この事を心配した父は神アポロンにお願いに行くのですが、、、

一足先にキューピットはアポロンに手を回していました。(さすが!!)
アポロンはプシケの父に「恐ろしい怪物にさらわれるよう岩山に娘を置いてゆけ」と命じます。
※なんで?と思いますがここにはキューピットの隠れた気遣いがある事が後で分かります。

父は神の指示とあって、仕方なくプシケにその事を告げます。プシケは父親思いの娘だったので父が神の怒りを買わないように大人しく従います。

そうしてさらわれたプシケは夫の顔を見ることが出来ませんでした。それは夫が夜だけプシケの元に来て朝にはどこかに消えていたからです。しかしプシケはその点を除けば幸せな生活を送る事が出来ていました。
※キューピットにしてみれば母ビーナスに悟られないようプシケを守っていたんでしょうね。ビーナスも恐ろしい怪物の嫁になったという話を聞いて納得するでしょうし。
※この辺は見方で単なるスケベと読み取る人も居るでしょうね。

さて、恐ろしい怪物の嫁になったという事になっているので姉妹の二人がプシケを救おうとプシケに噂を伝えます。プシケに怪物が夜帰ってきて寝ている時を見計らってナイフで一突きして逃げてきなさいと。

その夜、プシケはランプを頼りに寝ている怪物を一突きしようとしますがランプの明かりに浮かび上がったのは怪物ではなくすやすや眠る青年でした。驚いた拍子にランプの油が落ちてキューピットは目を覚ましてしまいます。
※あーあっっていう感じですかね。普通ならこれでもう終わりでしょう。

怪物という現実の幸せ、真実を見てもらえなかったキューピットは傷ついて母ビーナスの元に返ってしまいますがビーナスはキューピットの失態を許さず幽閉してしまいます。

プシケは大きな物を失いました。そしてその事に気がつきます。
プシケはある決心をします。自らビーナスの元に出向きどんな仕打にも耐えて愛を取り戻そうと。

プシケはどんな意地悪にも耐えました。そしてビーナスもこれが最後だと言い、一つの依頼をします。
プロセルピナから美を取り戻す箱を受け取って来いと。(実はこれも意地悪なのですけど)。

途方も無い意地悪に耐えてきたプシケはその箱を受け取って買える途中、自分はどれほどみすぼらしい姿になっているのかと不安になり、少しなら、と思ってその箱を開けてしまいます。その結果、プシケは眠りに落ちていってしまいます。

そのころキューピットはようやく心の傷も癒え幽閉された部屋を出ますが、そこには眠りに落ちたプシケが居ました。キューピットはプシケを救い、彼女に心を信じるという事を説き叱ります。

そしてキューピットはプシケを連れて神ジュピターに頼み神々の前で正式に婚姻を許してもらいます。

ハッピーエンドで良い話ですね。

先日の「オルフェウスとエウリュディケ」の話同様にこの神話の概観は様々なストーリに利用されています。ドラマなんかにもね。これから「あー、このストーリーは、、、」と言ったような見方も出来るかもしれませんね。


さて、「アモールとプシケ」は日本語で訳せば「愛と誠」という事で。

これも落ち(?)としては最高ですね。