Note27 平行移動と線形接続

場の量Ψは各点で異なっている。移動したベクトルは元々そこにあるベクトルとは違うという事を忘れないようにしておかないといけない。
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この座標系では
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ですね。座標系が平坦というか「ふらふら」していなければベクトルを動かしても(当然、平行にだが)その成分に変化は無いが「ふらふら」している場合は成分が異なります。
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これまで、抽象的な話題ばかりになっていましたし、この事を踏まえて具体的な共変微分の一つの形を求めてみたいと思います。
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の計算です。さて、場の量Ψとベクトル場Xは次のように書けます。
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実際にはΨがこう書けるというのはインチキだ。もう少し書くと底空間Mの点xにおける接ベクトルの基底
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(これをフレーム(frame)という)の全部つまり底空間Mの全ての点におけるフレームを集めて束ねたものをL(M)としたとき、射影を
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として、構造群Gを一般線形群GL(n,R) (行列式がゼロにならないn x n行列)にとってその要素aでその右作用を
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というよく知られたマトリクスによる座標変換とするとL(M)は主ファイバー束になる。そしてMの接ベクトル全体T(M)をファイバーとして同伴ファイバー束(接ベクトル束と言います)を定義するとその断面がM上のベクトル場になる。このときΨはM上のベクトル場なのでそのように書ける。
※これは私の理解なので正確な定義等は数学の本を見てください。

後はひたすら共変微分の4条件式を適用していきます。少し冗長だが行間も含めて計算してみる事にします。
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ここで、
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です。さらに次のような仮定を行います。
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係数Γをクリストッフェル記号(Christoffel symbols)と言います。
このような仮定が成り立つ場合を線形接続といいます。
すると次のように書けます。言い忘れたけどΓも場の量です。
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この( )の中を一旦分解して、
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と書いて、初めの( )のjに関する総和をkに摩り替えて、
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こうして具体的な形が次のように決定されます。
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普通の微分に加えてズレに相当する余分な項が付いてきている事が分かります。座標系がふらふらしているために現れた、言ってみれば曲がり、捩れ、による付加項といえます。なので直感的に普通の空間(ユークリッド空間)では、空間の任意の位置で
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と予想できます(実際これは正しい)。微分幾何では次のような略記がしばしば使われます。
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今日は「現代微分幾何入門 野水克己 著」p74,75を解体してみた。
ただ、p74とは逆をやってみました。p74ではここで計算した結果を定義として与えて共変微分の4条件を満たすかを検証する、というやり方す。