Note33 曲がっているという事

これまで平坦とか曲がっているとか書いてきました。しかしよく考えるとこれらは感覚的なものでちゃんと定義していませんでした。さて、そこで問題です。まずは1次元(曲線)です。どちらが曲がっていますか?
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Bが曲がっていますね。まあ、正常な感覚ならそうですね。見れば分かるという事でしょうか?では2次元(曲面)ではどうですか?
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やはり、Bが曲がっていますね。でも何で「曲がってる」と分かるんでしょうか?
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先日のしっくり来なかった理由はまさにここにある気がします。つまり「見た目」というどうにもいい加減な(人によっても異なる)状態表現です。実際は1次元の曲がりは2次元以上の広がりの中で見えている事が分かります。同様に2次元の曲がりは3次元以上の広がりの中で見えるものだと分かります。

この類推からn次元の曲がりは(n+1)次元以上の広がりの中で見えるものではないのか
という事になります。
そうすると、3次元の曲がりは4次元以上からでないと見えないという事になります。

えっ!?

例えばこんな立体(3次元)はどうなんでしょうか?
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Aが曲がってるんじゃないのか?
どうやらこの辺りで感覚的なものとn次元の曲がりは(n+1)次元以上の広がりの中で見えるものという数学的感覚との差が出てしまいます。そこで次元を下げて考察してみましょう。ここからは物理的な考察です。まず一次元の宇宙を考えます。ここの住人つまり1次元の住人が自分の宇宙の曲がりを見ることが出来るでしょうか?A,Bを微小なトンネルのようになっているとします。(本当は一次元には広がりが無いのですが宇宙だという理解を助けるためと考えてください)
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さて、この1次元のトンネルにいる住人が入り口から見ている景色です。これは真っ直ぐなトンネルAでしょうか?それとも曲がっているトンネルBでしょうか?実際は
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1次元の住人にはこうなって見えます。なんで?。それは1次元の宇宙では光といえどもこのパイプが全宇宙なのですからこうなってしまいます。ちょうど胃カメラのようなファイバースコープを想像すると分かると思います。やはり1次元の住人には曲がりは見えないですね。しかし2次元の住人にはA,Bの曲がりの違いは一目瞭然です。つまり先程のねじれた立方体は表面が曲がっているだけだと言えます。その立体(超巨大な宇宙規模の大きさとして)の中に住んでいる住人にとっては曲がっているなんて事は見ることが出来ません。
実はこれは困った事です。私たちは3次元空間に住んでいます。この宇宙はどうなっているかは宇宙を飛び出して高次元の住人になるしかないという事になってしまいます。

ところがここが微分幾何の凄いとこです。宇宙を飛び出して高次元の住人になる事無く曲がりを定量的に判定できてしまうようです。

次回はこの点について見てみたいと思います。