Note36 距離を測る(計量テンソル)(1)

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2点間の距離はいつでも存在できるというのは多様体では自明な話ではなく距離を測るための仕組みが内蔵された(できる)空間(多様体)に限られます。まあ日常的な世界で思考する我々にとってはいつでも距離が測れる方がイメージしやすいですね。こういうのを多様体の計量と言います。そのような典型としてリーマン計量(Riemannian metric)という物があります。

多様体Mの接ベクトルX,Yに対して双線形
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という写像gを多様体Mのリーマン計量と言います。ベクトル場の内積ですね。

線形接続に対してリーマン計量がxからyへの曲線に沿う平行移動τに対して
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が成り立つとき計量的といいます。これは平行移動で長さが変わったりしない事ですね。

リーマン計量を使って線形接続の形を具体的に決定しておきましょう。
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で、線形接続の係数は今のところ具体的な姿を与えていません。つまり線形接続というだけではΓは一意には決定出来ませんが捩れが無い場合レビ・チビタ(Levi Civita)接続という形で一意に決定され、ベクトル場X,Y,Zに対して
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が成り立つように共変微分を決めてやるとこの共変微分は共変微分4条件をみたしているので共変微分が定義できてつまり線形接続を与えてくれるという事らしい。
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として共変微分の定義に代入すると、
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という線形接続の式を代入すると、
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ここで逆行列
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を使うと、
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よって、レビ・チビタ(Levi Civita)接続は次のように決定されます。
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こうやってリーマン幾何学が現れます。ん、、なんか凄い。リーマン計量の成分はテンソルになっていますから計量テンソル(metric tensor)とも呼ばれます。

今日は「現代微分幾何入門 野水克己 著」p103,104,105を解体してみた。