Note57 接続形式と接続係数(共変微分)の関係(1)

接続形式というものが接続で定義されました。
一方、接続が与えられると線形接続では接続係数によって共変微分が定義できました。なので接続係数と共変微分の関係は明らかです。

しかし、そもそも接続は接続形式の存在によって定義された訳だから接続形式とは無関係では無いはずだ。もっと言えば共変微分の中に接続形式が明示的に現れても良さそうだけど、、、
(と思うのがシロートの妙な疑問だったりする)。

妙なというのは「現代微分幾何入門 野水克己 著」ではそのような関係が説明されていない。(私が気が付けないだけかも知れないが)ずーっと気になっていた。
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それでやっとこの関係が分かった(気がする)。今日はその点を。

まず、線形接続で共変微分
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と書けたのでした。
※Σを一々書くのが面倒なのでアインシュタインの縮約表記
(「上下に現れる同じ添え字については総和をとる」)を使っています。
なので次のように書くことが出来ます。
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そこで、次のような写像を定義します。
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そうすると、
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と書けます。というのは次のように簡単に分かります。
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と、確かにそうなっています。
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ここで、次の一次微分形式を定義する。(少し暗示的だけどωは今のところただの一次微分形式だ)。
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これは形式的には次のように書くことが出来ます。
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従って
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これは行列の計算の事だと思えば良いし、実際に行列の計算になっている。

ここで、ωを接続形式として考えると以下のように辻褄があうのである。
ここでXは座標変換(右作用)で(ベクトルを行列で変換するわけだから)
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となっています。なので
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ωは接続形式だという事になる。※Note45 接続形式(3)
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これは正に「現代微分幾何入門 野水克己 著」p88の(5),(6)をまとめた形になっている。
この形は「現代微分幾何入門 野水克己 著」p87では底空間上のベクトル場の水平持ち上げを具体的に計算して導いている。

これで接続形式と接続係数が繋がったわけで、だから接続係数と呼ばれる理由にもなっていると分かった(少しスッキリした)。

構造群Gの表現ρによる同伴ファイバーで考える場合は
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と考えれば良いようだ。「現代微分幾何入門 野水克己 著」では最初からρは省略された略記を行っているようだ。という事でむしろベクトル束における共変微分は初めからファイバーの切断をsとする時、
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と定義する方が主ファイバー束で考える場合はスマートなようです。