Note67 接バンドルと多様体上のベクトル場

接バンドル(接束)のイメージは以前Note60 ベクトル束(接束)のイメージで描いてみた。少し整理したものが次の図です。
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でした。ファイバーの切断を考えますと、ファイバーの切断は
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でしたから次のように考えると、
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なのでこのσは切断と考える事が出来ます。こう考えると、M上の接ベクトル場
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は接束の切断と同一視できる事になります。もう少し大胆に言えば、
多様体上の場の量(ベクトル場、スカラー場、テンソル場、、、)はファイバー束の切断とした微分幾何の視点から捉えることが出来そうです。
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もっと大胆に言えばa∈Aのような集合Aの1「要素」という概念は、aを束ねたファイバー束の切断で捉える事ができる(ようなイメージと思っても)良いかもしれない。

これでしばらくモヤーっと少し引っかかっていた切断とのイメージがやっと解消した。
と言うのもリーマン幾何学でもベクトル場の共変微分を使うがこれらはリーマン多様体上で話。一方、共変微分はファイバー束(接続と平行移動)の上で定義されていた。イメージ的にはリーマン多様体はファイバー束では無くむしろファイバー束の底空間に置かれるからファイバー束上の話だったものがいつの間に底空間上の話になってしまったんだ?という事です。それでモヤモヤしていた点で足掻いていたのが
Note55
Note56
Note57
だった訳でして、

リーマン多様体上のベクトル場の共変微分等はこうした接束の概念(接続と平行移動)で捉えてその切断という視点から定義されるという意味がイメージとして理解できた。それで一旦定義されてしまえば通常は接束の事は忘れてしまっても良いという事らしい。だからリーマン幾何学のテキストにはファイバー束なんていう概念は登場しないって事なんだ。
という事らしい。