Note121 ブラックホールのイメージ

今日はブラックホールを描いてみようと思います。一般向けの解説書でもブラックホールの絵は良く見かけます。すり鉢状の絵ですね。でもあれってブラックホールの姿を本当にイメージしているのか?と疑問に思う事も、それで少しまじめにすり鉢状の絵をひねり出してみようと思います。その結果が下の絵です。どうですか?
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さて、出発点はアインシュタイン重力場方程式の厳密解の一つでカール・シュヴァルツシルトが導いた「シュヴァルツシルト解」です。この解もローレンツ変換と同様に不思議な事に一般向けの解説書でも掲載されています(多くはただ載ってるだけですが)
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ただし、ミンコフスキー空間の計量を次のように取っている
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これから重力場方程式の解というか計量テンソルは簡単に読み取れます。多くの場合このような球面座標系で書かれていますが別にこの表示だけではなくちゃんと時空(t,x,y,z)の計量で書かれた解もあります。
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さて、もとの式に戻って、
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このままでは可視化できないので3次元空間に押し付けてしまいます。dtとdθの項を削って、
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さらにパラメータを固定して断面を取ることにします。
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これを曲面として表示したい、パラメトリック曲面として天下り的だけど
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と定義するとこの曲面上の計量で
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となるようにZの形を決めてやれば良い。
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また、
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従ってこの曲面の計量は
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これと比較すると
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この微分方程式の解は(任意定数は省略)
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この曲面を描くと次のようなイメージが得られます。
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冒頭の絵はこの曲面と背景に銀河の実写をテクスチャーとしてマッピングした結果です。曲面をパラメトリック曲面として生成したのでテクスチャー・マッピングも容易になったのでした。