おとぎ話(リップ・ヴァン・ウィンクル)と松田勇作

リップ・ヴァン・ウィンクルが森へ狩りに出かける。
ウィンクルは森の奥の方に入り込んでしまったのだがそこで小人に出会う。

そして小人に招かれて彼らからお酒をすすめられる。そのお酒がとても美味しく飲みすぎて酔ってしまったウィンクルはある夢を見る。

その夢の中ではどんな猟も許されるという素晴らしい夢世界だった。
しかし、良い所で彼は夢から覚める。

ウィンクルが目覚めると周囲の様子が変わっていたので慌てて家に帰るがそこも一変していて既に妻は亡くなっていた。彼が一眠りしている間に何十年もの月日が流れていた。...


松田勇作は好きな俳優の一人だ。今、あの雰囲気をかもし出す俳優は居ないと思う。
猟奇的な雰囲気、淋しく孤独な雰囲気、ユーモアの溢れる雰囲気、どれも演技だが鳥肌が立つくらいだ。


普段はうだつのあがらないおとなしいサラリーマン、しかし夜には体を鍛え上げて野望を成し遂げようとする男。そう「蘇える金狼」だ。

さらに「 野獣死すべし(1980年)」もかなり凄い映画だと思う。戦場カメラマンで元東大卒のエリートで頭脳明晰な男。
退職し趣味である読書とクラシック音楽鑑賞、社会とは隔絶した生活。
しかしその顔とは裏腹に銀行を襲撃して大金を、、、
それを追う刑事、そして夜の夜行列車内での刑事との言葉のやりとりは鳥肌が立つほどの迫真の演技だ。その時の刑事役は室田日出男さんだが額から流れる冷や汗は演技では無かったというから松田勇作が迫真の演技だったという事だろう。

その時の伊達(松田勇作)が刑事に銃を突きつけて話すおとぎ話のシーンはゾクッとするほどだ。
松田勇作ファンならこのシーンが最高の1シーンだと思う方も少なくないだろう。

その話と言うのが「リップ・ヴァン・ウィンクル」。
当時は映画の中の作り話と思っていたが実際に存在するおとぎ話だった。


硬直していた刑事が恐る恐る「俺もそんな酒は飲んでみたい」と言うと
「あーその酒の事なら覚えていますよ」
小人にもらったお酒は、
ラム、コワァントロー、それにレモンジュースを少々。
シェイクするんです。わかりますか?


刑事はそれを聞いて「X、Y、Z」とつぶやくと「そうだ」「これで終わりって酒だ!」。
そして刑事は殺害される。

松田勇作が逃走の末、、、そして目が覚めると、、、。

※このXYZとうカクテルも実際にある。
http://ja.wikipedia.org/wiki/X-Y-Z