Note280 ハーディのパラドックス(2)

ここでD-とD+が同時に検出された場合を考えてみると。
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どこでパラドックスが生まれるのだろう?

電子と陽電子は下の図の赤、青のコースを通過して(古典的な解釈)D+、D-で検知される場合があるという事がパラドクスらしい。ただ外側を通る経路もあるので直ちにパラドクスとも思えないのだが、、、。
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この点が良く分からなかったのだが実はハーフミラー3、4を取り除いて見てみるとその事情が明白になる。

まず、ハーフミラー4を取り除いて見てみる。
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D-が検出した場合
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同様にハーフミラー3を取り除いてみると
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D+が検出した場合
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さて、ここでコースの長さをうまく調整すると電子または陽電子が検出されるまでの時間差を作る事が出来るはずです。先に陽電子がD+で検出された後にハーフミラー3の位置を電子が通過する前に素早く設置をする事が出来る。もちろん電子がその事を察知したとするなら話は別だがこの時、(1)から電子はPを通過する経路を辿るはずです。これとは逆の事も可能で先に陽電子がD+で検出された後に電子がハーフミラー3の位置を通過する前にこっそりとハーフミラー3をすばやく取り外す事が出来る。この場合はハーフミラー3がその時点では実際に存在しないのでやはり(1)から電子はPを通過する経路を通るはずです。この事はハーフミラー4の場合も同様だ。この結果からD+、D-で検知される場合、それはハーフミラー3,4の有無に関係が無いと言える。つまり

D+で検出されたなら電子はPを通過する内側を通る。
D-で検出されたなら陽電子はPを通過する内側を通る。

という事だ。

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この事を踏まえてD-とD+が同時に検出された場合を考えてみると。
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電子・陽電子が内側を通りD-とD+で同時に検出される場合が存在する。という奇妙な事を意味している。これは旨く時間を調整してやれば互いに同時にPを通過するので対消滅が起きるはずだからD-とD+が同時に検出される事は無いはずだ。

確かに「パラドックス」だ。

※もちろん「古典的な解釈」、古典的な物理解釈という意味で。という注釈は必要だろう。
対消滅したのにD-とD+で同時に検出されるなんて事は量子力学は言っていない。