Note281 ハーディのパラドックス(3)

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ここで「対消滅したとしても光子がD+、D-で検知されたのでは?」と思ってしまうがこれはこの実験の前提で電子、陽電子のみを検知するとしても前回までの議論に変更点は無いからその場合は排除できます。

電子、陽電子が同時に内側を通り、D+とD-で検出される場合がある」※1 というのがパラドックスだった。つまりこの場合はPを通過するので対消滅してD+とD-で検出される事は無いからだ。ではお互いに外側の経路を辿ったのでは?と思うがこれもまた奇妙な解釈をしなければならない。つまり電子や陽電子がハーフミラーの存在を察知したり時間を遡ってやり直すような事が起きるのか?とか。


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大阪大学の大学院生、横田一広さんと井元信之教授らの実験結果(New J. Phys. 11 (2009) 033011)(ニュー・ジャーナル・オブ・フィジクス」)で「マイナスの確率」にからむ話はハーディのパラドクスにおける両粒子が実際にはどうなっているのかを弱測定によって得た結果だ。実際には電子と陽電子ではなく光子を使った。

そのとき弱測定の結果、両粒子が外側の経路を辿った確率が「マイナス1」という事になったというものだ。ただ、この確率が-1というのは、マイナス1個の量子が観測されたと言い換えられている事もある。そして「本来は存在しない反光子のようなもの」が通ったという説明もあるようだがアハラノフが言うように「光子の数がマイナスなのではなく、物理的な特性がすべて逆になった光子が正の数だけ存在する」という解釈もあるようだが詳細は良くわからないです。

※1)「古典的な意味での解釈をすると」という前置きは必要だろう。