タイムトラベル(3)

タイムトラベルが抱える最も大きな問題、「親殺しのパラドックス
これに対して最近話題になった論文がある。
Physicists Tame Time Travel by Forbidding You to Kill Your Grandfather
http://arxiv.org/abs/1007.2615
 
Lloydらが考えるタイムトラベルのモデルは別の歴史を辿るような奇妙な解釈による歴史の不一致の発生を明確に禁じている

えっ!?と思うだろう。つまり、だったら「親殺しのパラドックス」は一体どうしてくれる!!という問題に直面するように思える。つまり、Lloydらのモデルは歴史の不一致の発生を明確に禁じているという点ではハッキリと未来でパラドックスとなりそうな出来事が起こる可能性はあらかじめ除外されるとしている。
つまり、Lloydらが提唱するモデルではタイムトラベラーが自らの誕生を阻止できるような親殺し等と言う不穏な概念は排除されるわけだ。

となると益々タイムトラベルを遥か遠い夢に持ち去ってしまうような気がするのだが驚くべきことがLloydらのモデルではとても奇妙な事が起きてしまうと予言される。そしてその点がまさに話題となった焦点でもある。
 
簡単に言えばLloydらのモデルでは
パラドックスとなりそうな出来事の発生が除外される代わりに、なんと
起こり得なくはないが、通常は起こらないような出来事」の発生率を高めてしまうという事実だ。

たとえば、後にタイムトラベラーが祖父を殺害するのに用いられることになる弾丸が製造される際、異常な高確率で欠陥のある弾丸が作られる、といったようなことが起こる。そうでなければ銃が不発に終わるか、あるいは「ちょっとした量子的ゆらぎによって、弾丸が直前でそれる」ことになるはずだと、Lloyd氏は話す。
引用)http://wiredvision.jp/news/201007/2010072923.html
 
つまり、タイムマシンが量子ゆらぎの効果で偶然作動しないとか親を撃ち殺そうとしたら弾丸が消滅したとかいう殆ど起きそうも無い事態が起こる確率が上がってしまうというものだ。
 
そしてLloydらのチームは、光子を用いてシミュレーションする実験を行なっている。タイムトラベラーが遭遇する可能性のある状況に似た量子状態に光子を置くこ事でこの検証が行われた。自己矛盾した(パラドックスとなりそうな)状態に光子が近づくほど、実験が成功する頻度は下がっていき、実際のタイムトラベルも同じような結果になる可能性を示唆したそうだ。