隕石衝突((K/T)境界インパクト) Ⅱ

前回の続き。
 
前回の冒頭にに書いたけど、、、
計算結果はかなり悲劇的かつ衝撃的な内容となった。
なので気分を害しそうな方は読むのを止めて頂きたい。
 
隕石衝突による津波の発生は概ね次のような段階を踏む
隕石衝突による波動きの発生
クレータへの海水の流れ込み
隕石衝突時には海水および隕石自体も衝突時の高温により蒸発」しているため計算は浅海に空いた巨大なクレーターに向かって海水が押し寄せるところからとした。
つまり、海に空いた巨大なクレーターに向かって海水が押し寄せ、周辺海域では巨大な引き波が起き、海水はクレーターが一杯になっても止まらず、巨大な海水の盛り上がりを作った後、押し波となって周辺へ流れ出し全世界へ広がる、、、。
 
設定は直径10kmの隕石は20km/sで太平洋上、東経140度、北緯32度の地点に落下(クレータ直径200km深さ7.4km)、非線形波方程式で計算、計算時間は9時間で打ち切った。
 
その計算結果は
 
上記で述べているような事が再現された。
1時間ほどで海水はクレーターを満たし、巨大な海水の盛り上がりが津波となって日本を襲う。
 
最大で高さ700m、最高遡上高さ2800m、最高浸水深さ270m。
人的被害(つまり死者)は3000万人に達した。
流出建造物は400万棟。
瓦礫の総量は2億8000万トン、その処理費用概算は6兆3000億円となった。
 
隕石衝突からほぼ2時間ほどで東京、神奈川、静岡、愛知、三重はほぼ壊滅、この地域で助かるのは難しいだろう。
 
 
 
浸水域は図のようになった。
イメージ 1
 
9時間では日本列島を横断するほどの浸水は見られないが朝鮮半島、中国大陸にも被害が及び始めている。しかし、大半は日本列島が防波堤となっているように見える。
 
 
計算内容について。
被害計算は中央防災会議などで用いられている浸水高さからの統計的な経験式を適用。
ただし、避難行動も避難意識が低く、避難勧告等の情報が途絶えているとした。
地形データはSRTM V9を利用。つまり概ね1kmメッシュ。
人口密度は均一と仮定し、現在の人口密度を設定。
波の変動および巨大な流量に計算がついて行けないため流量制限を設けて数値発散を抑制している。特にクレータへの流れ込みは鉛直方向成分の寄与が大きいため方程式の適用限界に近いと思われる。
 
次回は、津波の様子を3DCGによる可視化を行ってみたいと思う。
 
参考・引用文献)
K/T-Impactによる津波の発生」藤本浩介、今村文彦
 
注意事項)
ここで述べている内容(人的被害等の数値、シミュレーション画像)は極力学術的な正確さに努めているが不正確な内容を含んでいると思うため空想科学(SF)として理解してもらいたい。
専門的かつ学術的なことは上記参考文献を参照するか専門家の意見あるいは専門書をご参考ください。