第5話 観測と状態の重ね合わせについて(二重スリットの実験再考)
粒子は波のようにスリットA、スリットBを漏れてきて干渉縞が現れる。しかし粒子ならそんな事は起きないはず。スリットAかスリットBのどちらかを通過しているはずである。
そこでスリットAとスリットBにコッソリとセンサーを付けておく、こうしておけばどのスリットをすり抜けたか覗き見する事ができるはずである。
しかし、センサーはどちらも反応しないかAが反応するときはBは反応しないし、Bが反応するときはAは反応しないのである。やはり粒子である。そしてスクリーンを見ると今度は干渉縞は出ない。
しかし、センサーはどちらも反応しないかAが反応するときはBは反応しないし、Bが反応するときはAは反応しないのである。やはり粒子である。そしてスクリーンを見ると今度は干渉縞は出ない。
粒子の通過を検知しているとまるでそれを察知したかのように干渉縞は現れない。センサーをはずして見るとスリットA、スリットBを漏れてきたとしか思えない波の性質を見せ干渉縞が現れる。波の性質は観測しようとすると(正しくは観測すると)現れないのである。
※正確にはこの図ような状態が重ね合わせではない。仮にこのような図の状態があるとするとこれはそれで一つの状態で重ね合わせででは無い。あえて言うとAB状態といえる。あくまでA状態とB状態の重ね合わせ状態と言うしかない。人間ではこの「重ね合わせ状態」を旨く説明する言葉もイメージももてないのである。(なのでこの図のような事しか描けない)しかし言葉は無いが以下に示す式で表すことだけ可能である。これが量子力学の回答でもある。 |
Ψ = | スリットA通過ψ | + | スリットB通過ψ |
Ψ = スリットA通過ψ + スリットB通過ψ
もう少し正確に書くのであれば
Ψ = スリットA通過ψ + スリットB通過ψ + 壁で反射ψ
となる。粒子の状態Ψは量子力学ではあらゆる可能な状態の総和(重ね合わせ)となる。
この事に関する正確な話は改めてするとして、以下では(壁で反射ψ)の状態は考えない事にする。
注:あらゆる可能な状態なので壁を通り抜ける状態も含める必要がある |
実際に観測すると(私たちが観測結果として得られる観測結果は)
Ψ = スリットA通過ψ
または
Ψ = スリットB通過ψ
になる。この変化には時間を要さないはずである。
これを
これを
波束の収束(state reduction)という。
もし微小な時間でもかかって変化すのであればある瞬間にスリットAとスリットBを同時に漏れ出る瞬間をセンサーが捉えたはずである。
1個ずつ発射された粒子は、一体誰と(自分自身?)と干渉したのか?。もう一人の見えない自分と干渉したのだろうか?。1個の粒子として考えてはまったく理解出来ない現象である。二つのスリットの一方を通る粒子ともう一方のスリットを通る粒子の「2つの状態」が「重なり合って干渉をしている」としか考えられないのである。1個の粒子がスリットのどちらを通ったかを観測して通過スリットが分かるようにすると、干渉縞は無くなってしまう。この問題を
「観測問題」observation problemと言う。未だに未解決の問題である。
観測問題には2つの代表的な解釈があるが基本的には観測問題は未解決問題である。
コペンハーゲン解釈(Copenhagen interpretation)と
エヴァレット解釈(Everett interpretation)' である。
コペンハーゲン解釈(Copenhagen interpretation)と
エヴァレット解釈(Everett interpretation)' である。
どちらにしても重ね合わせは観測できないので今のところ解釈の違いでしかない。
コペンハーゲン解釈はこの重ね合わせがあるとして観測の瞬間に重ね合わせはなくなるという波束の収束を認めるという解釈である。一方、エヴァレット解釈は観測者という特殊な存在を否定して観測者と対象の両方を含めて考えなければならないとう立場から波束の収束は無いという解釈である。
コペンハーゲン解釈はこの重ね合わせがあるとして観測の瞬間に重ね合わせはなくなるという波束の収束を認めるという解釈である。一方、エヴァレット解釈は観測者という特殊な存在を否定して観測者と対象の両方を含めて考えなければならないとう立場から波束の収束は無いという解釈である。
エヴァレット解釈はイメージ的には
Ψ = (スリットA通過を観測する私ψ) + (スリットB通過を観測する私ψ)
と考えようという事。
(スリットA通過を観測する私ψ)と(スリットB通過を観測する私ψ)は排他的な量子状態なので互いに認知する事は無いので波束の収束は無く重なり合ったΨがそのままある。という解釈である。後にエヴァレット解釈はさらに解釈を加えられて多世界解釈(パラレル・ワールド)として広く知られるようになる。
(スリットA通過を観測する私ψ)と(スリットB通過を観測する私ψ)は排他的な量子状態なので互いに認知する事は無いので波束の収束は無く重なり合ったΨがそのままある。という解釈である。後にエヴァレット解釈はさらに解釈を加えられて多世界解釈(パラレル・ワールド)として広く知られるようになる。
Ψ = (スリットA通過を観測する私ψ) + (スリットB通過を観測する私ψ)
が
Ψ = (スリットA通過を観測する私ψ)
Ψ = (スリットB通過を観測する私ψ)
が
Ψ = (スリットA通過を観測する私ψ)
Ψ = (スリットB通過を観測する私ψ)
に瞬時に分裂していると考えるのである。
エベレット解釈は宇宙全体のΨ(があるとして)が一つあるだけで別に宇宙全体が分裂していくという事を仮定している訳では無い。
エベレット解釈は宇宙全体のΨ(があるとして)が一つあるだけで別に宇宙全体が分裂していくという事を仮定している訳では無い。