第4話 Ψは一体何のか?


シュレーディンガーが見つけた量子の方程式はψという波を表していたが色んな計算が出来るようになった。
しかし一番の問題はΨが複素数になることである。複素数の波とは一体なんなのか?
シュレーディンガー方程式に現れた複素数の波Ψに関しては当人のシュレーディンガーさえ全く分からなかったのである。しかも問題はシュレーディンガー方程式を解いてエネルギーは分かるのだが粒子は一体何処にあると言うのだろうか?そもそも粒子の一面もあるわけだからその運動に関する時間発展に関しては皆目検討がつかない状態だった。

結局ボルンがこの問題に関して一つの提案を行った。それは|Ψ|^2、つまり
Ψの絶対値の二乗がそのとき粒子がそこで見つかる確率を与える
のだという提案である。
|Ψ|^2は実数になるので観測可能な量である。まもなくハイゼンベルグがこの案が正解だと言う事を示したのである。

シュレーディンガー方程式が世に出ると量子の物理学は(量子物理学者とよばれる)多くの人によってこの様な検討が行われていった。やがてそれらは一つの体系「量子力学」を築いていったのである。

量子力学は、少なくとも今までの物理学の概念を根底から変えてしまうような自体を引き起こしていた。
Ψは粒子(量子)の物理学的な状態を表しているはずだがそれ自体は原理的に観測不可能な事になった。
つまり真の物理学的な状態はΨの中に閉じ込められ決して観測する事は出来なくなってしまったのである。

さらにΨはベクトル的な性質を持つ事が知られていた。つまり、Ψ= ψ1 + ψ2 のように足し算として書けるのである。(状態の重ね合わせ「superposition」という)

物理学的状態Ψがより基本的な物理学的状態ψ1とψ2の足し算とは一体なんなのか?

さらに量子力学では観測そのもの(物理量)が作用というもので表現されることになったのである。
つまり、観測Qに対して測定値λをえるという事を量子力学

QΨ = λΨ 

と表される事になったのである。つまり、シュレーディンガー方程式は HΨ = EΨハミルトニアンHはエネルギーを観測する作用だったのである。