実数は不連続である

多分、同業者なら意味はなんとなく感じていると思う。今日の豊かな生活は数値計算などによるシミュレーションや設計製造無しには成り立たないと言っても過言じゃないと思うが、あなたが手にしているマウスもその成果の一つです。不思議な事に実は当たり前のことほどこの数値計算は困難になる。
しかし最終的には大抵はある問題で行き詰ってくる。
それは数値が連続でない事に起因している事が多い。

例えば線分と線分の交点計算を考えてみる。
「あー、そんなん簡単ジャン」「中学生レベルの問題だね」と思うだろうけど実に難しい。
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どの時点で交点無しと言うのだろうか?
3番は交点ありとするのか?、そうだとすると3番から4番の中間の状態は?さらにその中間は?

しかもコンピュータが再現できる数値はある限界(マシンε)で隙間というかそれ以上の細かい精度は保障されない。そこでエンジニアリングでは「トレランス」という限界(当然マシンε以上の値)を設けておいて数値の離れがこのトレランス以内なら同一数値と見なす、という(インチキ)を行う。

そのためトレランスの設定によってシステムの出力が異なる場合がある。場合によっては意図しない結果を生む事すらある。だた、そこはプロのエンジニアならではの絶妙なテクが駆使される事になる。先のマウスも最低でも数個の曲面、場合によっては数十から数百の曲面で構成されるわけだがその繋ぎ目の連続性もある意味トレランスが関与しているため問題は複雑である。

それ以外にも高度な計算は数学が教えてくれる方法では殆ど解けない。そのため近似計算という事をやるのだけれどもここでも誤差という問題が大きな問題となる。
どちらにしてもその大元の原因は
コンピュータ上の実数が不連続だからである。