第15話 ハイゼンベルグの不確定性原理

https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190805/20190805002523.jpg
観測結果のバラツキについて見てみたいと思います。ある観測Pの結果のバラツキ具合は基準となる観測Qの平均値を考えてこれとの離れ具合、つまり引き算の結果を考えれば良いはずです。
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190805/20190805002516.jpg
となります。普通はQ=Pで考えますが。実際はこれが観測Pのバラツキに相当します。
観測Pの結果のバラツキ具合はPの平均値との離れ具合です。さらに、このバラツキの二乗標準偏差といいますが、この量子力学ではこの標準偏差をバラツキの基本として考えます。
Pの標準偏差
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190805/20190805002529.jpg
と定義されます。

標準偏差誤差に相当するものなので次のように書きます。
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190805/20190805002519.jpg


さて、観測(物理量)Pと異なる観測(物理量)Qのバラツキのにはどんな関係があるのでしょうか?
この関係には
衝撃的な関係
があることをハイゼンベルグは見出したのです。それは現在の書き方で書くと、
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190805/20190805002533.jpg
という結果です。これは純粋に導出出来るので「原理」というより定理じゃないの?と素朴に感じてしまうが。
δxδp ≧hbar/4 これは後で見るように p=hbar/i(∂/∂x) が導けない量子力学の要請のためやはり「原理」であって定理では無い。(2007.05.20追記)

※導出には演算子のエルミート性とシュヴァルツの不等式が必要なので興味のある方は専門書をご覧下さい。モット簡単に導出できるという「エレガントな解答」があれば教えてください。


この公式が明らかにしているのは量子力学では観測P, Q において一般には観測P、観測Qの両方の物理量の観測は正確には行えないという事です。これは式から明らかですね。ただし、一つの例外もあります。それは観測PとQが交換可能なときです。それは [P, Q] = PQ - QP がゼロの時です。それ以外は絶対にゼロに出来ないという事です。つまり、'''どう頑張ってもこの不確定性を逃れる事が出来ないという事です。
※参考第8話 不確定という事


●メモ
量子力学によれば位置(y座標)の測定(物理量)と運動量(x方向成分)の測定(物理量)に対応する作用はそれぞれ
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190805/20190805002536.jpg
と書けます。y は細かく書くと y× (yをかける掛け算です)。
[P, Q] を計算して見ると
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190805/20190805002540.jpg
となって交換関係が成り立っていますから不確定性なく測定できる事が分かります。なので単純に粒子の位置と運動量(速度)の関係が不確定性の関係があると言うのは間違いですね。このケースでは原理的には正確に決定できる物理量だと分かります。
しかし、
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190805/20190805002545.jpg
位置(x座標)の測定(物理量)と運動量(x方向成分)の測定(物理量)の交換関係を計算してみると、
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190805/20190805002549.jpg
となってゼロになりません。これを不確定性の公式で計算して見ると良く見かける不確定性原理で引き合いに出される式
https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/c/cat_falcon/20190805/20190805002526.jpg
が得られます。