第31話 量子暗号(後編)
アリスが送った情報をイブが盗聴した場合はどうなるのでしょうか?
アリスはHVかSTかを発信しないので盗聴者イブもボブと同様に50%の確率で誤ります。例えばアリスがHVで送ったビットをイブが誤ってSTで送ってきたと思って盗み見たとするとイブはSTと思っているのでイブは
|S>か|T>
をボブに返さなければなりません。もし何も返さなければボブは盗聴があったかもしれないと察知してしまいます。しかしイブは誤った情報を50%の確率でボブに送ってしまう事になります。
何も知らないボブはHVかSTで読み取る事になります。
ボブとアリスが照合した時一致率は50%の半分の25%になっています。やはりここでも盗聴を察知します。
|S>か|T>
をボブに返さなければなりません。もし何も返さなければボブは盗聴があったかもしれないと察知してしまいます。しかしイブは誤った情報を50%の確率でボブに送ってしまう事になります。
何も知らないボブはHVかSTで読み取る事になります。
ボブとアリスが照合した時一致率は50%の半分の25%になっています。やはりここでも盗聴を察知します。
アリスが1ビット(0)を送信
ボブはHVかSTか不明なので50%の確率で誤る。
STだと思った場合
なので観測した瞬間にどれかに収束します。ボブはビット(0)またはビット(1)を50%で判断する事になりますが結果的には測定が異なっているので採用しないビットになります。なのでボブはアリスの送った情報を50%だけ正しく認識します。
ボブはHVかSTか不明なので50%の確率で誤る。
STだと思った場合
なので観測した瞬間にどれかに収束します。ボブはビット(0)またはビット(1)を50%で判断する事になりますが結果的には測定が異なっているので採用しないビットになります。なのでボブはアリスの送った情報を50%だけ正しく認識します。
そこでイブが盗聴を行ったとするとイブもボブ同様にHVかSTか不明なのでやはり50%の確率で誤ります。
もしSTだと思った場合、観測した瞬間に|S>か|T>のどれかに収束します。
イブは盗聴がばれないように何事もなかったかのように送信しなければなりませんがイブは既に観測してしまっているので状態は|S> か |T> に収束してしまっています。なのでボブに送る情報は|S> か |T>のどれかになります。50%の誤った情報をボブは受け取ります。ボブは受け取った情報を50%の確率で決定するので後で照合すると25%しか一致しません。このため盗聴されたと気がつきます。
言ってみれば
しかしどうやらこれも不可能らしいのです(この辺については次回で)。
もしSTだと思った場合、観測した瞬間に|S>か|T>のどれかに収束します。
イブは盗聴がばれないように何事もなかったかのように送信しなければなりませんがイブは既に観測してしまっているので状態は|S> か |T> に収束してしまっています。なのでボブに送る情報は|S> か |T>のどれかになります。50%の誤った情報をボブは受け取ります。ボブは受け取った情報を50%の確率で決定するので後で照合すると25%しか一致しません。このため盗聴されたと気がつきます。
言ってみれば
盗聴者イブが盗聴した瞬間に元の量子状態は壊れてしまうためイブの存在は発覚してしまいます。つまり
第3者に情報が渡ると壊れてしまう性質から量子暗号の安全性は完璧と思われます。しかし、もしイブが盗聴する直前の状態(状態遷移する前のオリジナル)をコピーして複製した方を観測してオリジナルをボブに何事もなく送ったらどうでしょうか?結局、量子暗号キーはイブに読まれてしまうのでしょうか?
しかしどうやらこれも不可能らしいのです(この辺については次回で)。