備忘録・最悪の宣告

結局、努力はしたもののタイムリミットになってしまった。
主治医がいつこの事を切り出すかが気になってしょうがない。多分、今日は何か言われるなと思った。

「もう1週間様子をみて今後の事を考えよう」と言われた。

とりあぜず、「ほっとした」。

しかし、一週間は無常に経ってしまった。その一週間でじっくり考える事も出来た。

当然、奇跡が起きて、、も考えたが無駄だった。
どうやって社会に復帰するかをまじめに考えてみた。不安だらけだったが、目も見えるし耳も聞こえるそれにちゃんと歩ける。まー何とでも成ると、、、この繰り返しだった。

先生と今後の事を話した。

「戻ってくると思ったけどこれだけやっても回復の兆しが無いから、、、」
「ただ、そのままでは何かと不便だろう?」

というので

「確かにそうですが、、、」
とうな垂れると、

「移植手術受けてみる?」

意外な回答だった。すぐに、どうしても聞きたい質問があった。

「それをやると元通りに動かせるようになるんですか?」

「今はぷらんぷらんで操り人形みたいにただ付いているだけだけど2,3割は動かせるようになる」
がっくりした。

それでも選択肢が与えられたから判断しなければならなかった。

ちょっと余談だがどんな移植かというと、まずどちらの手でも良いので手を開いて軽く親指と小指をくっ付けて手首を少し内側に曲げてみてください。すると腕の真ん中にピコッと腱が浮いてきます。
(ありましたか?)

これは殆ど役に立っていない(普段使われていない)組織らしい。これを使って駄目になった所に移植するというわけです。

ここで私は特異な体質だと判明した。なんと右腕にその腱が無かったのです。
先生は

「あれ?無いな」

と、どうやら無い人もいるらしい。そこで左腕から採って移植する事になる。

後日、同様な移植手術をした人に合う事ができた。
手術後の腕を見せてももらった。手首の付け根から腕の付け根まで痛々しい傷跡。
しかもやっと(若干?)動かせる手首。

この手術を受けるか判断が益々難しくなった。利点は少なくとも動かせるようになる。損失は、今は何もしなければ半そででも傷跡は上腕だけなので人目に付かないがこれではかなり目立つ。

悩んだが見た目より「実用」を結局は優先した。

「はい、やります」と返事をした。

紹介状を書いてもらうことになった。先生は今はxxx病院にこういった手術の名人が来ているのでそこに行って手術を受ける手配をしてくれた。

結局、諦めずにリハビリを頑張ったが結果はこれだった。

1週間後に転院する事になったが事前にその病院で精密検査をする事になった。
仲良くなったみんなともお別れ、新天地へ行く事になった。