寝るなー寝ると凍死するぞ

なんていう台詞は映画やドラマではよくある場面ですね。

今日もとっても寒い一日でした。多分明日もそうでしょうね。

さて、「寝るなー寝ると凍死するぞ」という台詞、医学的にはどうなんでしょう。


人の体温はほぼ一定だという事はみなさんご存知だと思います。これだけ温度度一定に保つための制御は簡単ではありません。もう少し正確に言えば内臓の温度は常に一定です。環境が灼熱だろうが今日のように劇寒の状態でも。人間の体は本当に不思議です。超精密なマシンです。

寒いと人は体を縮めます。よくやりますね。
これは表面積を小さくして逃げる熱をなるべく少なくしようとしているためです。

さらに冷え込むとガタガタと震えます。
人間は温度センサーというかサーモスタットのような器官があることが知られています。この器官が感知した環境によって脳は体温を一定に保とうと様々な対策を打ってくれます
その一つが筋肉を動かすために一部のエネルギーをそちらに手配します。これがガタガタ震える原因です。そのため普段より多くのエネルギーを消耗します。

さらに冷え込むと脳はさらに一部のエネルギーをカットして内臓温度を保つために回します。
こうなると当然一部が不自由になります。まずはろれつが回らなくなり、喋り方がうまく行かなくなります。このあたりなら経験のある方もいるかも知れませんね。でも実は非常に危険な状態です。
なるべく早く体を温めるか行動(運動)して体を動かす必要があります。しかし、残念な事にエネルギーには限りがあります。この状態がまさに「低温症」の一歩手前です。

さらに進行すると脳は選択を迫られます
内臓を守るか脳を守るか?驚くべきことに脳は自分に供給するエネルギー(糖分)をカットして内臓を守るために使うように制御します。こうなると意識は次第に失われて眠気が襲ってきます。なので殴ろうが蹴飛ばそうが本人の根性とは無関係に眠り始めます。この時点で人体は自分で温度を上昇するための機能も停止してしまいます。これが「寝るなー寝ると凍死するぞ」という台詞の真相です。

この状態を打破するには外的な要因で体温を上げる事が必要です。まわりに大丈夫な人間がいれば体、肌をくっ付けあって抱き合うという方法がもっとも安価で効果的だと言われています。映画のシーンでもたまにありますがまんざら嘘でも無かった訳ですね。