第48話 量子ビットの間違い(量子誤り)訂正の方法・後編
前回の続きです。誤りを訂正するのかを具体的に見てみます。ここで、
とするとき、量子状態Ψの物理量Qの固有値(観測値)λを
求めてみます。注意点としては、一般に測定を行うと量子状態は壊れますが物理量
Z ⊗Z ⊗I、I ⊗Z ⊗Z の測定の場合は量子状態は壊れない(固有状態)です。これは以下に示す計算からも分かります。3ビット目が誤っている場合
※赤矢印で示したビットが間違っている場所。
とするとき、量子状態Ψの物理量Qの固有値(観測値)λを
求めてみます。注意点としては、一般に測定を行うと量子状態は壊れますが物理量
Z ⊗Z ⊗I、I ⊗Z ⊗Z の測定の場合は量子状態は壊れない(固有状態)です。これは以下に示す計算からも分かります。3ビット目が誤っている場合
※赤矢印で示したビットが間違っている場所。
なので、
つまり、λ=(-1, 1) と分かる。同様に2ビット目に誤りがあった場合は、
なのでλ=(-1, -1) と分かる。さらに1ビット目に誤りがあった場合、
なのでλ=(1, -1) と分かる。
以上をまとめると、
この表から
誤りのビットが分かれば
を使ってそのビットを反転してやれば元の正しいビットに戻る。例えば、符号化した初期状態は
のはずですが、観測値が(-1, +1)のとき3ビット目が誤っていると分かるので
※赤矢印で示したビットが間違っている場所。
つまり、λ=(-1, 1) と分かる。同様に2ビット目に誤りがあった場合は、
なのでλ=(-1, -1) と分かる。さらに1ビット目に誤りがあった場合、
なのでλ=(1, -1) と分かる。
以上をまとめると、
この表から
誤りのビットが分かれば
を使ってそのビットを反転してやれば元の正しいビットに戻る。例えば、符号化した初期状態は
のはずですが、観測値が(-1, +1)のとき3ビット目が誤っていると分かるので
※赤矢印で示したビットが間違っている場所。
として誤りが訂正される。
量子ビットを直接観測することなく誤りを見つけて訂正できたわけです。
任意のn qubit のうちt qubit に誤りが生じる場合に訂正できるより一般的な量子誤り訂正を構成する方法をCalderbank らが提案している。
A. R. Calderbank, E. M. Rains, P. W. Shor, andN. J. A. Sloane. Quantum error correction viacodes over GF(4). IEEE Transactions on Information Theory, 44(4):1369–1387, July 1998, quantph/9608006.
計算理論専門家向けの話
A. R. Calderbank, E. M. Rains, P. W. Shor, andN. J. A. Sloane. Quantum error correction viacodes over GF(4). IEEE Transactions on Information Theory, 44(4):1369–1387, July 1998, quantph/9608006.
計算理論専門家向けの話