「ブラボー・ツー・ゼロ」(アンディマクナブ著)湾岸戦争の言わば影を体験した1兵士の壮絶なドキュメントです。一読の価値はあると思います。彼はイギリス軍のSAS隊員、つまり世界最強とも言われる特殊部隊員で8名の隊員とイラクの前線を越えて任務にあたります。一人当たりの荷物は80Kgを超えていてそれでもスカッドミサイル施設の探索に向かいます。移動、潜伏、探索を行う様は息詰まる内容です。しかし、現地の少年に目撃されたのを切っ掛けにイラク軍部隊の大掛かりな追撃に合い、国境を目指して脱出を試みますが、、、
本の中でも著者が書いていますがSAS隊員は戦闘はもちろん医学、言語、文化等に関する知識が豊かです。そして極めて精神的に正常です。例えば国境を目指す途中で何度と無くイラク軍と戦闘になります。味方はわずか7人、敵は装甲車を伴った部隊ですが、「怖い」と言っています。「スプーンででも穴を掘って隠れたい」と書いています。つまり恐怖を感じない異常者のような人間とは一緒には戦闘に向かえないと言っています。だから映画のような主人公はある意味異常者でしょう。
そしてこの恐怖を8人のチームワークで切り抜けます。このあたりも実に理に叶っています。例えば、彼らはイラク軍の弾丸の雨の中、まず車両のキャタピラや機銃照準器を攻撃します。つまり最も脅威となるのは人が撃ってくる弾丸より装甲車や機銃で、これらを真っ先に破壊して敵の攻撃力を抹消したあと敵を一人ひとり撃っていきます。結果的にはわずか8人ですが敵部隊を圧倒してしまいます。
このような頭脳戦は何度と無く出てきます。それに対して著者の解説もあって「なるほど」とうなずける点も多いです。そして気が付くと「これって戦闘に限った事じゃないな」と思える話もあります。
その後、中々勉強になるな、と思って著者がSAS隊員になるまでを書いた「SAS戦闘員」も読んでみました。こちらも結構学ぶ点が多かったです。特に私が感じたのはリーダーとか上司には是非一読してもらいたいと思います。本当に現実的(実用的)で私は考え方が少し変わりましたね。
実りのあるミーティングのやりかた、コミュニケーションの良し悪し、責任者の取るべき行動、重要任務を失敗した場合や仕事が出来なくなった者への対応等どれも戦闘に限らない話に置き換えてみる事ができます。しかも生死を伴う現場の話なのでとても現実的です。
この事は少し紹介していきたいと思います。