Note31 位相変換

ゲージ変換とかゲージ不変というのは量子論では頻繁にでてくる用語です。
なんとなく「ふーん、なんかそんな変換もあるんだな」と言う程度であまり深くは知らなかった。

重要な概念であるというのは啓蒙書レベルでも垣間見る事が出来るが所詮はその程度。QEDを少し突っ込んでFeynman図と戯れてみたもののやはりその恩恵は実感出来なかったので放置しておいた。まあ、専門家を目指して苦難を歩んでいる方から見ればかなりいい加減ですがそこは単なるサラリーマンなので、、、

と言う事もあって今日は少しゲージ変換の歴史的な背景を勉強しておこうと思った。

量子力学では位相変換
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という変換が「ゲージ変換」と言う事だが、これの何処がゲージ変換なの?ゲージって「物差し」だろ?、この変換の何処が物差しの変換なんだろうか、、、という「くだらない」素朴な疑問だ。

その前に、位相だけどこれはこれで紛らわしい。幾何学の位相(トポロジー(topology))では無い。
英語では(phase) フェイズと呼ばれる方の位相。周期関数のパラメータ、例えば回転角度とか、まあそんなようなパラメータを位相と呼ぶ。

と言う事でゲージ変換の歴史的な背景を、、、。

一般に曲がった空間(多様体)では2点間距離はピタゴラスの定理を満たさないと言う事は微分幾何(リーマン幾何学)の教えるところだった。つまり、
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だった。計量テンソルによる局所的ピタゴラスの定理という形になったわけです。そこでユークリッド空間の場合のピタゴラスの定理をこの表記で書き直せば、
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という事で計量テンソルが空間の各点で一定という極めて特殊なケースだったという事になります。比較のために改めて一般のピタゴラスの定理を書けば、
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という事になります。模式的に書けば
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という話になっているらしい。
らしいと言うのは一般相対性理論はさっぱり分かりませんと言う意味です。

さて、この事はファイバーバンドルの接続という事と関連している。空間が曲がっている事でベクトルを平行移動していくとベクトルの向きが変化して閉じたコースを平行移動したにも関わらずもとの向きがずれてしまう。ファイバーバンドルの視点から見ると接続係数クリストッフェル記号(Christoffel symbols)
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でベクトルζの向きの変化は
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と書けるのでしたね。普通の空間(ユークリッド空間)では、空間の任意の位置で
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と出来る極めて特殊な状態だと言う事になる。ところでアインシュタインはこの重力場電磁場を統一しようという野望をもつ。実際一般相対性理論の基礎を1916年に発表した3年後には既に重力場素粒子の関係について
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という論文を書いています。野望の第一歩という事でしょうか?

そんな時ワイル(Hermann Weyl)という数学者がある一つのアイデアを思いつきます。
これがゲージ変換の発端のようです。この点は次回。