第12話 量子力学の基本3(状態ベクトルの基本)

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大まかに言って普通のベクトルと思って差し支えないです。内積が定義されさらに単位ベクトル(基底ベクトル)も定義される。基底ベクトルは座標軸に相当する関係「直交」するように決められます。またΨはベクトルで言えば常に長さ1の単位ベクトルになるように適当に定数倍されます。

メモ
内積というのはベクトルA=(a, b, c)X=(x, y, z) とするとき、
ax + by + cz という計算の事をベクトル AX内積と言います。


状態ベクトル内積
状態ベクトル |Ψ1>| Ψ2>内積<Ψ1|Ψ2> と書きます。
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とするとき
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ちょうどこれはベクトルの内積と一緒ですね。さらに後で述べるように<ψi|ψi> = 1 という仮定を行うので、
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になります。


基底ベクトルは以下を満たすものとします。

■直交基底
基底ベクトルは可能な全ての状態を持つ完全系でかつ直交系である。
これは次のような条件を満たす場合を言います。
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●直交系
<ψi|ψj> = 0
<ψi|ψi> = 1

●完全系
任意の状態 |Ψ>
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のように書けます量子力学の一つの仮定である。

可能な全ての状態との全セットはこの直交基底の状態ベクトルとします。
直交基底において直交とはイメージ的には図のように基底ベクトルがまさに90度の関係(直角の関係)になっている事を示しています。
状態としてはちょうど確率で言うところの背反関係にある状態を直交するといっていると思えば良いと思います。これは偶数と奇数、裏と表、生と死のように決して同時には成立しない状態に相当します。

従って、一般の状態 |Ψ> はこの総和(正確には一次結合)
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という重ね合わせになります。

●規格化されている。(単位ベクトルになっている)
<Ψ|Ψ> =1
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なので<Ψ|Ψ> が1でない場合は
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のようにして最初に割っておけば <Ψ|Ψ> =1 に出来ます。量子力学ではこのような規格化は暗黙的に行われているものとして議論されます。

光の粒(量子)は縦偏光と横偏光が重ね合せとして光ビームスプリッタによって反射か通過の二通りがあり、重ね合わせの状態は
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でした、これを規格化すると
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となります。