Note136 水素型原子のエネルギー準位の補正

水素型原子のシュレーディンガー方程式が示す電子がとりえるエネルギー準位は
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で与えられる。これから水素原子のスペクトル
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についてリュードベリの公式が得られる。
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これを量子力学が理論的に説明したという点が量子力学の凄いところです。

ここで少しエネルギー準位の記述について復習しておこう。エネルギー準位は主量子数、方位量子数、磁気量子数によって次のように記述される。
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方位量子数は0→s、1→p、2→d のように記号が割り当てられている。従って主量子数=2、方位量子数=1、磁気量子数=1/2の場合は
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と書かれます。なので先程のリュードベリの公式は主量子数だけに依存しています。

ところが観測結果によれば2P(1/2)と2P(3/2)は実は2本のスペクトル線に分かれている。
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この差は相対論効果の補正を加えると
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となります。この式で2P(1/2)と2P(3/2)のエネルギー準位の差を求めると
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後にシュレーディンガー方程式を相対論化したディラック方程式によって求められたエネルギー準位
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でもこの結果は正しい事が分かります。

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しかし、ディラック方程式による解では2P(1/2)と2S(1/2)では差が無いためスペクトル線は1本に見えるはずです。これは簡単な計算で分かります。
ところが2P(1/2)と2S(1/2)にも超微細なズレが生じているという事をWillis Eugene Lambが正確に測定していた。
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今日Lamb shift(ラムシフト)とよばれるものです。

で、このズレを先日の摂動計算で計算してみようというのが今の目論見なのですが、、、